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2021.05.12

ファッション

マルジェラ・ジャーマントレーナーは経年変化してなんぼ。四千頭身・都築拓紀の靴へのこだわり

「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
喉から手が出るほど欲しいモデルを手にできない歯がゆさ。’90年代にそれを味わった人も多かろう。ゆえに、我々は一期一会の大切さをよく心得ている。
世代こそ違えど、人気お笑いトリオ、四千頭身の都築さんもスニーカーを通して同じ想いを経験するひとり。
都築拓紀●1997年3月20日生まれ。茨城県出身。人気お笑いトリオ、四千頭身のボケとツッコミを担当。2015年に後藤拓実、石橋遼大とともにトリオを結成し、今や多くのTV番組にレギュラー出演するなど、お笑い第7世代人気の一翼を担う。登録者数72万人(5月12日現在)を誇る公式YouTubeチャンネル「YonTube」も絶賛配信中!
さぁ、きっかけをくれた3足を発表してもらおう。

①先鋒 メゾン マルジェラ「落書き ジャーマントレーナー」


「’90年代に青春を謳歌してきた方々が羨ましいです」。
その言葉を裏付けるかのように都築さんが所有している洋服は、’80年代〜’00年代初頭にリリースされたアイテムの古着が多い。
本人曰く「デザイナー本人が実際にデザインしていた頃の、アイデンティティが強く発揮されていたモノに惹かれるから」だ。
スニーカーも御多分に洩れずで、その最たる例がメゾン マルジェラのこちら。

「僕が買うのは、カレンダータグ(0~23までの数字がずらりと並んだマルジェラ独自のタグ)でいうところの“0 10”や“10”の初期あたり。
なかでも“0 10”のアーティザナルといわれる、マルタン・マルジェラ本人が手作業でヴィンテージを再構築したラインがめっちゃ好きですね。その辺りの服はよく買っているのですが、合わせる靴が悩みのタネ。何かないかな~と思って探していたらこれと出合ったんです」。

今でこそ、ミリタリールーツのスニーカーとして浸透しているジャーマントレーナー。商標登録されていなかったこともあり、あらゆるブランドがそのデザインに着目してきたが、その先駆けとしてファッションへと昇華させたのがマルジェラである。
「手描きなので同じデザインはひとつもありません。そのうえ、経年変化ゆえのインクのちょっとした滲み具合や日焼けで紫っぽくなっている部分もグッときます。
やっぱり軍の靴なわけじゃないですか。そんな背景があるものは、とことん味わいを出した方が格好良いなって思うんですよね」。

ひと目惚れではあったのものの、そこそこいいお値段。悩んだ末の購入となったが、その判断が間違っていなかったことはうっとりした笑顔から容易に想像できる。
 

②中堅 コンバース「コーチ Ⅴ ジョガー」


「これは、おそらく僕が持っているスニーカーの中でもっとも古い年代のモデルですね」。
そう紹介してくれたのは、これまた年季の入ったコンバース。でもどこかジャーマントレーナーにも似た雰囲気がある。
「実は、マルジェラの真っ赤なジャーマントレーナーを探していたんです。ただ、僕は足が大きいのでなかなか合うサイズが見つからず、その矢先に発見したのがこいつです」。

もともとコンバースには「お手軽でスマートな大定番だけに、あらゆるコーディネイトに合わせても“浮かない”スニーカー」との印象を抱いていたという。
そのため、高校からファッションに興味を持ち始めて以降、常に所有しているとか。
「昨年の11月頃に購入しました。紐がちゃんと当時のものっていうところもいいですよね」。

自身のワードローブと照らし合わせ、自分の好きな着こなしのイメージにぴったりハマったことも購入への後押しになった。
「くすんだ赤も合わせやすそうに感じました。もともと持っているアイテムは茶とかピンク系統の色が多く、色のトーンを揃えて着こなすパターンが多かったんです。
今季は、靴から上をほとんどホワイトやアイボリーで統一して、足元にこの赤を挿したいですね」。
 

③大将 ’90年代のコンバース「オールスター」


コーディネイトを締めくくる重要なピースとして、日頃からスニーカーのリサーチに余念がない都築さんが、「最近の大ヒット」と満足げに語るのがこのコンバースだ。

「’90年代製のリアルレザー仕立てで、オールブラックがかなり響きました。夏に向け、スマートにスタイリングをしようとすると革靴だと暑苦しい。そんなときにちょうどいいなと思って」。
ただ、当初のお目当てはこのアイテムではなかったという。
「もともとヴァンズのスリッポンでレザー質の黒があって、それを探していました。でも、いくつか見つかったのですが何か違うな~とピンとこなかった。で、たまたまこれにヒットしたんです」。
これがまた良心的な価格であるうえに、かなり使えると大絶賛。都築さんのシューズクローゼットの中ではルーキーの部類だが、今やレギュラー格として活躍中である。

「ジャケットを軸としたきれいめな格好をするのであればスニーカーでハズす、古着を着るのであれば革靴でしめるといった合わせ方をよくするので、そのどちらでも活躍してくれます」。
オン、オフ兼用の腕時計が重宝するように、確かにこんな一足があれば何かと心強いってもんだ。

1980年代後半から2000年代初頭といえば、スニーカーにとっては戦国時代。都築さんはリアルに体験している世代ではないが、「あらゆるブランドが凌ぎを削るなか、頭ひとつ抜け出してやろうっていう意志やパワーを強く感じます」と熱弁する。
20年以上が経過しても、我々だけでなくZ世代の心も突き動かすとは、当時のブームの凄さを改めて実感する三番勝負なのでした。
「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
外に出られずとも眺めているだけでアガる、それがスニーカー。スニーカー愛に溺れた生粋のスニーカー好きたちが偏愛する一足を披露する、スニーカー三番勝負。
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菊地 亮=取材・文 


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