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2021.05.21

時計

ヴァガボンドへの憧憬。「パネライ」の大海原を疾走するヨットのような腕時計とは

「腕時計と男の物語」とは……
ネパール人の彼と出会ったのは、海辺のカフェだった。休日の昼下がり、カウンターでお互いビールのグラスを傾けていたことから、どちらからともなく話し始めた。
料理人だった彼は、観光で訪れた日本人女性と知り合い、遠距離恋愛を経て結婚。ふたりとも旅好きだったこともあり、バックパッカーとして一緒に世界を放浪しているそうだ。だが今海外の移動はままならず、日本国内で友人やSNSで知り合った知人を訪ね歩いている。まるで寅さんのような気ままな旅を支えているのが料理の腕前だ。
「カフェやB&Bの厨房を手伝ったり、レストランを間借りしたりして自分の料理を出すことも。今やカレー好きは万国共通なので、意外にこれでどこにでも行けるんですよ」と笑う。
ターメリック、コリアンダー、クミンシード、カルダモン、チリパウダーといったスパイスの調合ひとつでまったく味が変わる。地元の食材に合わせて配合を考えるのはクリエイティブであり、科学実験のようでもある。それも旅を続ける魅力であり、醍醐味だろう。そんな料理の楽しさを彼に教えてくれたのはお父さんだった。
「市場に勤めていた父は、売れ残った肉や魚、野菜を持ち帰り、毎晩腕を振るっていたんです。それが美味しくって。子供心に今日はどんなカレーだろうといつも楽しみでした。家は貧しく、食卓もそれだけだったけれど、まるで世界が広がったように感じました。旅好きになったのもそのおかげかも」。
ヴァガボンドへの憧憬。「パネライ」の大海原を疾走するヨットのような腕時計とは
腕時計262万9000円/パネライ(オフィチーネ パネライ 0120-18-7110)
世界を旅することは、スパイス調合という無限の可能性を追求することと同義なのだろう。そして僕にとってそんなヴァガボンドへの憧憬を満たしてくれるのがパネライの「サブマーシブル ルナロッサ–47mm」だ。
パネライがパートナーシップを組むアメリカズカップの競争艇ルナロッサAC75をモチーフに、その帆をダイヤルに用い、ケースには船体から収集した炭素繊維をベースに、独自開発したカーボテックを採用。多層素材ならではの独特な紋様が浮かび、風をいっぱいにはらみ、波を蹴立てて大海原を疾走するヨットを思わせるのだ。
そんな想像とともに、潮風も心地良いカフェの午後は過ぎていった。いつか世界のどこかで彼のカレーを食べることがあるかもしれない。
そう考えただけでお腹の虫が鳴き出してきた。今夜の夕食が決まったのは言うまでもない。


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