アメリカの建築家/プロダクトデザイナーのロナルド・メイスにより、1980年代に提唱された「ユニバーサルデザイン」。できるだけ多くの人が利用できるデザインを指し、今もモノ作りの現場における基本的概念として広く知られている。
ではファッションにおけるユニバーサルデザインとは?
回答はひとつやふたつでは利かないが、ボッテガ・ヴェネタの新作トートバッグにその具体的イメージが備わっているように思う。
ボディはボッテガ・ヴェネタのシグニチャーであるイントレチャート(編み込み)のデザイン。
だが、いつもと素材が違う。レザーではなく柔らかなリボン状のナイロン地を編み込んで、シャープかつラグジュアリーなデザインに仕上げているのだ。
つまりアウトドアシーンで軽快な印象を発揮しつつ、街では上品に映えるトートというわけである。実際その使い勝手は抜群。
まずその大きさに安心感がある。こんなふうに大判のタオルとシャンパンボトルを入れて、街から海辺を目指すのもいい。水に強いナイロン素材のインナーバッグが付属しているから濡れたものの収納も安心。
荷物が軽ければ手持ちで、重ければストラップを使って肩掛けでOKのフレキシビリティ。そうそう、ブラックというあらゆる装いにフィットするカラーリングもまた、万人に愛される要素といえるかもしれない。
アウトドアとモードを難なく行き来するユニバーサルデザインなトート。このトートの根底にあるのはさまざまな人に対する想像力、理解力、そして包容力だと思う。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文