服作りの経験があるクリエイティブディレクターの岡田考功さんと、細部まで作り込まれたデニムを発信するデザイナーの津吉学さん。
デニムをはき続けて得た造詣と作り手側の視点から、大人のデニム観を披歴する。
[左]「ファーストオーダー」代表/クリエイティブディレクター岡田考功
1978年、埼玉県生まれ。デザイン会社「ファーストオーダー」代表、クリエイティブディレクター。その活動はグラフィック、映像、フォトディレクション、サウンドプロデュースなど多岐にわたる。現在、ラジコンブランド「東京無線車倶楽部」の立ち上げに向け準備中。
[右]「ファンダメンタル」デザイナー 津吉 学
1976年、大阪府生まれ。中学校時代を台湾で、20歳までをオーストラリアで過ごす。コンピューター、建築、ファッションを学んだのち社会人生活を経て、2005年に自身のブランド「ファンダメンタル」を設立。デニムを中心に、細部まで作り込んだ服を手掛ける。
よく“大人デニム”というけれど、それって何? 答えが出ないから面白いのかもしれないが、指針があるのなら知りたいのが人情。ならば達人たちにたずねるのが早い。
そもそもなぜ大人になってもデニムに惹かれるのか。話はそこから始まった。
津吉 デニム生地そのものが魅力なんですよ。個人的には経年変化が最大の魅力だと思っています。
岡田 最終的に自分で完成させる服ですよね。ふと思ったのですが、お洒落を始めるにあたってまず買った服って、デニムでしたか?
津吉 そうだったかもしれない。
岡田 ちなみに初めて洗濯したとき、色落ちしたことがものすごくショックでした。今も濃い色が好きなのですが、色落ちを受け入れてからデニムが楽しくなりましたね。できるだけ洗わないデニムがあったり、逆にタワシでゴシゴシ擦ったり。
津吉 うちのお客さんで、デニムが色落ちすることを知らない人はもういません。ただ「色をキープしたいからドライクリーニングのほうがいいのか」とたずねる方はいます。
岡田 そうなんですか?
津吉 いえ、うちは「ガンガン洗って色を落としてください」というスタンスで。デニムは色落ちしたり、穴が開いたりして育っていくもの。うちでは水洗いを推奨しています。細かくいえば、汗をかいたときには色物用洗剤を使ってくださいと。
岡田 勉強になるなあ。でもデニムは本当に進化しましたよね。昔はゴワゴワだったけど、今日はいているデニムなんて本当にはきやすい。
津吉 ストレッチ性を高めたり、ナイロンを混ぜて速乾性を持たせたり。それでも変わっていない部分があるとすれば、それは「デニムをはいたときの気持ち」かも。わかりやすく言うと、デニムをはくと地べたに座れちゃうんですよ。ウールのスラックスではそうはいきません。
岡田 それ、すごくわかります。僕の場合は公園の芝生やベンチに座れるようになる(笑)。
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