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官能に訴える集大成と見る

通称「スカバン」に始まり、ミツビシ モーターズ オーストラリアのマグナやメルセデスのCワゴンなど、数々の車を乗り継いでたどり着いたのが、マセラティのレヴァンテです。
60代を迎え、年齢的に最後のSUVとして選びました。Gクラスも選択肢でしたが、結局レヴァンテに。決め手は、エンジン音とエレガンス。SUVなのに側面のシルエットがクーペライクで、停めている姿も格好いい。9’8”のロングボードも無理やり入りますよ(笑)。
いざ乗ってみると面白い。マニアックですが、左折時に徐行してから直進に向けて加速するときの中音域にかかったエグゾーストノートは最高。これまで道具使いしてきた車に対して、官能的に惚れるという新しい体験ができました。
一方、iPhoneの接続やシートレバーの不調にイラつくことも多々。ドイツ車ではありえない(笑)。ただ、ツメの甘さを補ってあまりある魅力は、感性を刺激する点。
MC20も気になって、モックアップを見に行きました。電化ではなく、ガソリンエンジンを突き詰めてきましたね。エンジンのデザインも格好いい。第一印象は、「ちょうどいい」感じ。
フェラーリのような押し出しはないけれど、マクラーレンのような引っ込み思案でもない。丸の内の仲通りのような都会に溶け込む佇まいで、「エレガンス」というマセラティの最大の魅力を詰め込んだ集大成的な一台。トム・フォード風のスーツで乗りたいですね。もちろんエンジン音も楽しみです。
フォトグラファー/マディソンブルー副社長
地主 普
フォトグラファーとしてオーシャンズのほか、数々の広告、雑誌で幅広く活躍する傍ら、奥さまである中山まりこ氏とともに統括する人気ブランド、マディソンブルーでも、持ち前のファッション的手腕を発揮。
 

大河ドラマ級の歴史が一台に凝縮

今年の大河ドラマの主人公は渋沢栄一ですが、もし自動車メーカー版の大河ドラマをやるなら、ぜひ波乱万丈、山あり谷ありのマセラティでお願いしたいです。
例えば、このブランドはボローニャのマセラティ3兄弟が1914年に創業したわけですが、中心人物だったアルフィエーリは44歳という若さで亡くなっているんですね。このくだりは大河ドラマの第1回で、「ファミリーヒストリー」っぽく深堀りしてほしいです。
あと、第二次世界大戦前は家族経営のマセラティが、ドイツ国家の全面的なバックアップを受けて国威発揚を担うメルセデス・ベンツに立ち向かいます。ここには、「下町ロケット」的なエピソードをブチ込めそうです。
戦後、レースに資金を突っ込み過ぎて経営不振に陥った挙げ句に買収されるあたりは『華麗なるギャツビー』っぽくて、文学的なストーリーが紡げます。
このマセラティが次の時代に向けて放つ矢が、このMC20。プレミアムなスポーツサルーンもスーパーSUVも造るようになったマセラティですが、やはりレーシングマシンの開発から始まったオリジンに立ち戻ろうということでしょう。
この車を見ていると、ただカッコいいとか美しいというだけでなく、風雪に耐えて車を作り続けてきたパッションや歴史が染み込んでいるように感じます。同時に、もしこの車を手に入れたなら、あなたも大河ドラマの登場人物になるということ。根性入れて、お洒落して乗りましょう。
モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。「2020年、超高級車市場は対前年比で3割も売り上げが伸びたと聞いてびっくり」とのこと。車移動が増え、高級SUVが売れたからだとか。
 



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