どっぷり浸かったデニム文化から、旅という独自のフィルターを経て、自分の絶対的な価値基準にかなった物選びにたどりついたと語る俳優の青木崇高さん。
そんな青木さんだからか、職人がつけるダメージ加工については、一抹の違和感を覚えているようだ。
前編はこちら「人となり」をも表現できる懐の深さ
「ものだけ見れば、ビジュアルの良さがあるのは、わかるんです。ファッションが進化したひとつの形としてダメージデニムが存在している。迷彩柄もそう。本来の背景は軍隊由来ですけど、ファッションとして成立しているのは、理解できます。
でも、デニムというのは、その人がつけたダメージだから美しいし、その人がはくから似合う。まさにその人の人生に寄り添ってきた証し。そういう部分に惹かれます」。
かつて、とある映画で、青木さんが演じる役柄の衣装を自ら選んだことがあるという。その際も、デニムの懐の深さを実感した。
「’70年代という設定だったので、自分の膝やモモの位置にちょうど良くアタリが入っていて、いかにも自分がはき込んでいました、という古着を探しました。
その頃に存在したディテールなどにもこだわりました。そのうえでさらに自分ではき込んで、着古したんです。それを見て気付く人がいるかはわかりませんが(笑)。ただ、着ているものが、その人となりを表す意味は、結構大きいと思っています」。
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