看板娘、登場

こちらは、21歳の由夏（ゆうか）さん。福島県いわき市で生まれ育ち、大学入学を機に上京した。
ちなみに、金柑はのちほど登場する店主の出身地、宮崎県産。ほかの食材も宮崎県産のものが多い。宮崎は金柑の生産量が全国の6割以上と日本一を誇る。

これは迷うな……。由夏さんに頼ります。
「全部がお勧めなんですが、とくに『う巻かない』はびっくりすると思いますよ。鰻を玉子に巻かないからこの名前で、だし巻き玉子がふわっふわなんです」。
お値段1100円。よし、それにしよう。あと、「おまかせ前菜3種盛り合わせ」（1200円）もお願いします。

なるほど、「ハチミツ金柑サワー」はハチミツの甘味と金柑の酸味が絶妙にブレンドされている。さらに、前菜の盛り合わせは「前菜」のイメージを大きく超えるものだ。
由夏さんが流暢に説明してくれた。
「ポテトサラダのいくら乗せ、日向夏の白和え、フルーツトマトのナムル、国産アスパラのトリュフ風味焼き浸し、熟成真鯛のお刺身、しめ鯖サンドです」。
そして、圧巻は「う巻かない」。皿をつつくとプルプルと揺れるだし巻き玉子の上に鰻の蒲焼が鎮座していた。

どこまでも手を抜かない。開店と同時に続々とお客さんがやってくるのも納得だ。2018年の年末にオープンしたばかりだが、数多くのメディアから取材を受けている。

また、俳優のきたろうさんもテレビの取材で訪れており、店内の一等地に色紙が置かれていた。

さて、由夏さんのお父さんは料理人で、現在はいわき市内で「浅草だるまや」という居酒屋を経営している。
「昔から食べることが大好きで、高校時代は父のお店によく友だちを連れて行っていました。めちゃめちゃ安くしてくれるのでありがたかったです（笑）」。

「私、食べるのも好きなんですが作るのも大好きです。父が料理人なので、小さい頃からキッチンに立っていました。小学校で給食じゃない日は、とくに張り切ってお弁当を作っていましたね（笑）」。