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理想に近づくためのゴールドのベンチュラ

内田さんが所有するもう1本の時計は、ハミルトンが発明した世界初の電動腕時計「ベンチュラ」だ。
エルヴィス・プレスリーが愛用していたことはあまりにも有名で、ファッション業界関係者の支持率も高い。

「この時計は50歳の誕生日に妻からもらったものです。その頃、2人とも『ベンチュラ』を探していて、僕も妻にヴィンテージを探してプレゼントしました。
詳しいことはわからないのですが、完全なオリジナルの状態からすると、パーツが交換されているようですが、これもこの時計が歩んできた歴史として捉えています」。
ヴィンテージウォッチとしての価値を鑑みた場合、パーツの整合性やコンディションを無視することは難しい。その一方で、オーナーの想いが詰まった時計には、数字では測れない特別な価値があることはいうまでもない。
「なかなか欲しいものが見つからないのであまり持っていないのですが、実はゴールドのジュエリーが好きで……。この時計はジュエリーのような感覚でつけることが多いです」。
具体的とまではいかないにせよ、内田さんが気長に探している時計があるという。
ひとつがパテック フィリップのドレスウォッチで、もうひとつがロレックス。どちらの時計も誰もが認めるステータスシンボルであるが、内田さんはそこには関心がないらしい。
「ファッションの話になりますが、僕は収集癖もそこまでなければ、同じ服をずっと着続けるタイプでもない。クローゼットの入れ替えもかなり頻繁なほうだと思いますよ。数年で丸ごと変わることもあります。
それでも残るアイテムは、思い入れであったり、満足感であったり、所有するうえでの心地よさが感じられもの」。
本日の内田さんの着こなし。爽やかなカラーのニットにクリースが入ったブーツカットのデニム、ローパーブーツなとでウェスタンの要素を取り入れることで、今の気分を表現している。
「時計についても同じようなことがいえるかもしれません。その都度興味があるアイテムを楽しみながら、少しずつ理想のイメージに近づけていくのが僕の性分には合っているのかもしれませんね」。
つかず、離れず。そんな言葉がぴったりな内田さんのリアルな時計選びには、自分らしく腕時計と付き合うためのヒントが詰まっていた。
「腕“時”慢」とは……
腕時計好きが愛用する自慢の1本。なんで好きなの? いつ着けるの? 出会いはいつ? あなたの腕“時”慢なモノ語り、お願いします。上に戻る 
鳥居健次郎=写真 戸叶庸之=文


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