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腸内環境を整えることが感染症対策への近道


──肥満の人は重症化しやすい説は本当ですか?
脂肪をたくさん含む脂肪細胞は多量の炎症性サイトカインを放出します。BMIの値が30以上もあるような肥満の人は、全身の細胞に炎症が起こった状態であり、免疫系の活性が低くなります。
そのため、新型コロナウイルスが増殖しやすく、重症化しやすい傾向にあるといえます。欧米諸国と比べて日本人の死亡率が低かったのは、肥満率とも深い関係があると私は考えています。
──炎症性サイトカインが大量に分泌され、強力な炎症反応が起きた場合、体はどう対処するのでしょうか?
炎症性サイトカインが大量に放出された場合、通常は獲得免疫のTレグ細胞が炎症を抑制します。
もし、Tレグ細胞の働きが弱ければ、炎症性サイトカインはどんどん増え続けて、やがてサイトカインストームという免疫の暴走が起こす強力な炎症を起こしてしまうんです。こうなると自分自身の細胞がさらに傷つき、最終的には多臓器不全を起こして、死に至ることもあります。
──Tレグ細胞はとても重要ですね。
世間では自然免疫系のNK細胞がよく話題になります。確かにNK細胞の活性が高ければ、新型コロナウイルス感染症や風邪、インフルエンザなどにかかりにくくなるといえます。
しかし、獲得免疫系のTレグ細胞の活性が高くなければ、肝心の炎症を抑えることができないのです。
──うーん、NK細胞もTレグ細胞も両方活性化させるにはどうすればいいのでしょう?
ですよね。実はNK細胞の活性は腸内フローラの影響を受けて大きく変化するのです。特に大腸に酪酸菌が増えると、NK細胞の活性が上昇することは多くの論文で報告されています。
Tレグ細胞もしかりで、酪酸菌を増やすことができれば、Tレグ細胞の数を増やすことができます。
──つまり、酪酸菌を増やして、総合的に免疫を上げることが大事というわけですね。
大腸内の酪酸菌が多ければ、新型コロナウイルスはほとんどの場合、自然免疫で撃退できるはずです。
万一、肺などに感染が広がり、獲得免疫が動き出した場合でも、炎症を抑えるTレグ細胞が増えているので、サイトカインストームをしっかり抑えることができるでしょう。
新型コロナウイルスの対策には、酪酸菌の摂取をはじめとする腸内環境の改善が近道であると私は考えます。


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