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看板娘、登場

「お待たせしました〜」。
こちらは、昼営業のホープとして雇われた京子さん(27歳)。ウイスキー専門の立ち飲みバーでアルバイトをしたのがきっかけで、ウイスキーにハマったという。
今日着ているニットのセーターもウイスキーブランド「ブラック&ホワイト」が出しているゴルフウェアだ。
15mlずつ楽しめる「3杯セット」(2350円)と「牡蠣のスモーク」(750円)。
京子さんの解説がすごかった。
「左から日本最南端のマルス津貫蒸留所で造られた『津貫』、ラフロイグなどとはちょっと違うピート感が楽しめる『ベンロマック』、香り高いオロロソのシェリー樽で熟成させた『ラガヴーリン』です」。
「牡蠣のスモーク」もウイスキーによく合う。
京子さんは「鬱っぽくなって」高校を中退している。その後、家でイラストを描きまくる引きこもり期間を経てホームヘルパーの資格を取得。派遣介護の仕事に就いた。
「感情がまったく読み取れない知的障害の女性がいたんですよ。22、3歳かな。でも、あるとき彼女の似顔絵を描いてプレゼントしたらすごく嬉しそうな表情を浮かべたんです。初めて心が通った瞬間で、あれは嬉しかったですね」。
派遣介護を退職後は、さまざまなアルバイトを経験する。数年前に閉店したが、新宿の「モモンガ」というラーメン店もそのひとつ。
人生で初めて考案したスパイシーラーメンも人気だった。
当時からお酒は好きだったが、とくにこだわりはなくチューハイなどを好んで飲んでいた。しかし、1年半ほど前に先述のウイスキー専門の立ち飲みバーで働いたことを機にウイスキーの世界にどっぷりと浸かる。部屋にウイスキー専用棚も作った。
この3倍以上のボトルがあるという。
「関連書籍を片っ端から読んで、勉強ノートとテイスティングノートも付けるようになりました」。
現在も増え続けている“勉強の証”。
オーナーの蓮村 元さん(56歳)は言う。
「車のセールスマンは、車について詳しいよりお客さんのことに詳しいほうが売れるんですよ。この世界も同じで、ウイスキーに関する知識も重要だけど、その前にお客さんの要望に興味を持つことが大事。面接してみて、彼女はそれができる素質があるなと思いました」。
20年以上、ウイスキーバーを営んできた大先輩からの評。


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