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マウンテンバイクを楽しむためのボルボ・240

帰国後しばらくしてエンジンの付いたほうのバイクをやめた。理由は「子供と一緒にいる時間をふやしたかったから」だという。

“バイク遊び”は、主に国内のオフロードコースを走ること。しかしそのために週末はしょっちゅう県外まで出掛ける必要があった。「そうなると幼い娘と遊べない。それがかえってストレスになっていったんです」。

そんなときにマウンテンバイクを思い出した。

住んでいるのは葉山。ヨット発祥の地ということもあり海のイメージが強いが、実は起伏に富んだ里山がたくさんある。「試しにと裏山を走ってみると、すごく面白かった」。近場なら子供と遊んでからでも楽しめる。すぐにマウンテンバイク一辺倒になった。同じく近場で楽しめる波乗りも楽しむようになった。

お気に入りのひとつはキリッとしたこの角目ライト。


娘が手のかからない年頃になると、今度はマウンテンバイクでオフロードコースを走りに出掛けたくなった。「だったら足が必要だなと思い、自動車工場を経営している知人に相談したんです。そしたらちょうど3台ほど車が余っているから、好きなヤツを持っていっていいよって」。

軽トラと、いすゞのジェミニと、青いボルボの3台。いずれもタダで譲ってくれるという。「ボルボがいちばん維持に苦労するなと思ったんですけど、でもなぜか惹かれたんですよね」。

こうしてボルボが愛車となった。「最初は遊びに行く道具として、車を手に入れたつもり」だったのだが、予想通り、道具としてはやたらと手がかかる車だった。

“グローブをしたままでも操作できる”が、240の魅力のひとつ。この大きめのスイッチ類も「かわいい」そう。


しかし先述のように、たいていの修理は自分でこなせる赤池さん。故障のたびに自分で直す、を繰り返しているうちに「次第に愛着を持つようになったんですよ」。

ほかにも運転中は、異音や異臭がしないかと耳や鼻をフル稼働させていなければならないし、ステアリングを回す手のひらや、アクセルやブレーキを踏む足裏の感覚に、普段との違いがないかと注意を払わないといけない。何かと手がかかる車だった。

それでも、マウンテンバイクで熱くなった気持ちを、スピードをあまり出せず、ゆったりと走るボルボで帰路につくことは、心地良いクールダウンになるという。相棒としては最高だった。

こうして6〜7年乗り続けていたのだが、昨年の1月、ボルボとの絆を決定づける出来事が起こった。



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