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2021.01.09

あそぶ

アパレルバイヤーからシューズメーカーに転身した男のランニング術

田中利栄
「Running Up-Date」とは……
本連載「Running Up-Date」では、ギア選びに一家言あるランナーや、ファッション業界の“走ってる人”に話を聞く機会が多い。
そこで彼らの足元に注目してみると、実はあるシューズの登場率が高いことがわかる。オンだ。

ランニング好きが高じて、より“根っこ”に近いほうへ

今回登場いただく先輩ランナーは、日本にオンのシューズを広めた立役者のひとり、オン・ジャパンの田中利栄さん。ランナー仲間からはトシさんと呼ばれている。トシさんがオン・ジャパンに参画したのは2019年から。その前は某アパレルメーカーで、スポーツミックスのライフスタイルを提案するショップにてバイイングを担当していた。
田中利栄
「オンは2010年にスイス・チューリッヒで生まれた、まだ比較的若いシューズメーカーです。このシューズのことを初めて知ったのは、前職でバイヤーをしていたとき。
オン・ジャパンが立ち上がるタイミングで、ちょうど『クラウド』というモデルが登場した頃でした。共同創業者のひとりがスイスから来日していて、直々に説明してくれたんです」。
さっそく店頭で扱うことになったのだが、既にランナーとしてもある程度走り込んでいたトシさんの、バイヤーとしての琴線に触れたのはそのルックスの良さだった。
「こんなデザインのランニングシューズがあるんだと驚きました。大手スポーツメーカーのシューズは、良くも悪くもロゴデザインの主張が強いものがほとんどですが、オンのシューズは控えめにロゴが入るだけのシンプル顔。
色使いも洗練されていて、これならファッションとしても履けそうだなと、ピンときたんです。オリジナリティあるソールの履き心地も素晴らしいですし」。
田中利栄
トシさんが自店でオンをフックアップしたことで、人とは少し違うシューズを探していたランナーを筆頭に、ファッションとしても履けるランシューを探していた層やアパレル業界への認知が広がったのは間違いないはず。トシさん自身もどんどん成長していくオンの姿を見て「面白い」と感じていた。
「2019年にアパレル・小売りでの仕事にひと区切りつけることにして、次にやりたいコトって何だろうと自問しました。東京五輪を目前に控え、世の中のメインストリームにダイレクトにつながる仕事をしてみたい。それならばスポーツやランニングに関わるコトしかないな、と」。


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