強くて優しい、人間力の塊のような父親は、一生追いつけない「憧れの存在」
今作で自身が演じたポケモン・ザルードを通じ、格好いいお父さんを演じた勘九郎にとって、自身が抱く“格好いいお父さん像”とはどんなものなのだろうか。
「そうなると父親(十八代目 中村 勘三郎)になってしまいますね。まず言ったことは必ず実現する有言実行の人で、これはすごいですよね。
あと言い方として間違っているかもしれませんが掃除機のような人で、周囲の話はもちろん、面白いことはすべて吸い込んで発信をするという、バイタリティの塊のような人だったんです。とにかく周囲を巻き込む力というのがすごくて。僕はああいう人間にはなれませんが、憧れますね」。
漫画やアニメなどのほかに、最近新たに気になっていることがあるそう。超インドア派を自称する勘九郎からすると実に意外なものだった。
「家族でキャンプに行ったのですが、すごく楽しかったんです。ただ、セッティングとかは全然できないので、おまかせしてしまったのですが(笑)。
そのキャンプ場はピザ窯を貸してくれるところだったので、ピザを自分で焼きました。美味しくできたこともそうですが、焼くこと自体がすごく楽しくて。気付いたら1時間以上、ずっと窯の前にいたんです」。
今はソロキャンプも流行っているという旨を伝えると、「僕にはレベルが高すぎますね」とひと言。その直後、何かを思い出したらしく「あ、そういえば……」と、いたずら交じりの笑顔でこう続けた。
「あつ森(『あつまれ どうぶつの森』)」ならやっていますよ。最初の頃は子供たちと一緒に始めたんですけど、今ではやっているのは僕だけ(苦笑)。そういった意味ではソロキャンプを楽しんでいますね、ゲームの中だけですが(笑)。
あ、でもいつかゲームではない実際のキャンプを、他の人におまかせするのではなく、自分の手で実現させたいです(笑)!」。
最後の最後に歌舞伎俳優然と、自信満々に大見得を切った勘九郎。この言葉を聞いた瞬間、心の中で大向こうを張らずにはいられなかった。「いよっ! 中村屋!!」。
赤木雄一(eight peace)=写真 寺田邦子=スタイリング 宮藤 誠=ヘアメイク オオサワ系=文