「ラスト・オブ・ディーゼルSUV」とは……全長は約5mあり、車重も2tを超える、日本では“巨艦”の部類となるSUV。
そのボディをクイクイ動かすために、メルセデス・ベンツやBMWはガソリンエンジンのほかに、ディーゼルエンジンも採用している。それぞれの代表選手の個性を比較してみよう。
■メルセデス・ベンツ「GLE」
7人乗りを支える2種類のディーゼルエンジン
2019年6月に日本デビューした「GLE」は、前身であるMクラスから数えて4代目。
初代(Mクラス)は現在の「GLC」なみのサイズだったが、代を重ねる度に大きくなり、現行型はついに全長4940×全幅1950×全高1770mm(GLE 300d 4マチック)という堂々たるボディに仕上がった。
さらに4代目は初めて3列目シートを備えた7人乗りSUVへと変わった。
2020年6月にはクーペスタイル版の「GLEクーペ」も加わったが、サイズは「GLE」とほぼ同じながら、こちらは2列シートの5人乗りとなる。
大きくなった分、それに見合うパワー&トルクが必要になる。同社が「GLE」に選んだのは、3Lガソリンターボのほかに、2種類のディーゼルターボエンジンだ。
最高出力245ps/最大トルク500N・mを発生する2Lディーゼルターボは「GLE 300d 4マチック」に、330ps/700N・mを搭載する3Lディーゼルターボは「GLE 400d 4マチックスポーツ」に搭載される。
いずれも組み合わされるのは9速AT。WLTCモード燃費は「GLE 300d 4マチック」が12.5km/L、「GLE 400d 4マチックスポーツ」が11.1km/Lで、ひと回り小さい「GLC」の2Lガソリンターボ車(GLC 300 4マチック)の10.7km/Lより低燃費だ。
4WDシステムの「4マチック」はグレードによって動作が異なる。
「GLE 300d 4マチック」は駆動配分が前後50:50になるのに対して、「GLE 400d 4マチックスポーツ」は走行状況に応じて前後100:0〜0:100と配分が変わる。
「GLE 300d 4マチック」でも十分オンロード/オフロードを自在に走ることができるが、さらに高いレベルで車をコントロールしてくれるのが「GLE 400d 4マチックスポーツ」、という位置付けだ。
「GLE 400d 4マチックスポーツ」は、そのほかにエアサスペンションが標準装備されるため、乗り心地が快適になるのはもちろん、オフロード走行時などで車高を約60mm上げることも可能だ。
また全車渡河深度が約500mmなので、キャンプでちょっとした河原などを移動しなければならない場合も心強い。
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