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現在人気のキャンピングカーは、主にトヨタ・ハイエースや日産・NV350を始めとする、ワンボックス車ベースのものが多い。それも車の内部をキャンピングカー仕様にしただけで、外見は元のワンボックスのままだ。
外観は普通の商用車と変わらない(写真:レクビィ社提供)
このように、バンを改造したタイプをバン・コンバージョン、略して「バンコン」という。
これらのベース車両はご存じの通り、配達や商用車としてよく使われている。サイズに注目すると、車種にもよるが、車幅1.7m前後、全長5m前後と決して大きくはない。一般的なコインパーキングや月極駐車場の枠内に無理なく収まるサイズなのだ。車種を見ると典型的な商用車だと思われがちだが、サイズ的には大きめのワゴン車(トヨタ・アルファードや日産・エルグランドなど)と大差ない。つまりどういうことか。
1. 日常的に駐車しておく場所に困らない(一般的な駐車枠に入る)
2. 出先で駐車場に困るほどの大きさではない
3. 運転も慣れれば何とかなるサイズ
扱いやすいサイズ=普段使いできる、ということ。遊びのときにはキャンピングカーに、常日頃は自家用車として活躍してくれる、というオン・オフ兼用できるところが、人気の秘密なのだ。

国土の小さい日本に最適なバンコン

サイズの話題が出たのでもう1つ、日本独自の事情についてお話ししておきたい。
かつてキャンピングカーと言えば、欧米産の巨大な車両をイメージすることが多かった。もちろん日本製にも大型のものはあるし欧米製でも小型のものはあるが、なぜ、欧米製は大きく、国産は小さいのか。それには社会インフラの違いが関係している。
シャワー・トイレも完備(写真:レクビィ社提供)
ご存じの通り、アメリカは国土が広い。一部の大都市圏を除いて、広大な大地が広がっている。ヨーロッパでも都市と都市の間隔は広い。1日走っても1軒の店にも出会えない、なんていうこともある。誰も通らないところでガス欠になったら命とりだし、食料も数日分は蓄えて移動する必要がある。おのずと、キッチンやバス・トイレを完備しておく必要があり、車両は大きくなる。
一方、日本は国土が狭い。少し走ればスーパーマーケットやコンビニも(減少傾向にはあるが)ガソリンスタンドもある。おまけに全国各地に温泉が湧いているからシャワーもいらない。極端な話、快適に寝られる装備さえあれば、キャンピングカーとしては十分。だから普段使いと兼用できる小さなサイズでカバーできるというわけだ。


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