「映画と腕時計の親愛関係」をじっくり楽しむために
安藤 『相棒』に限らず、小物という視点で作品を見ると改めてそれが単なる小道具ではないということを実感できると思います。
広田 細部までよく練り込まれた作品は、本当にどこを見ても面白い。時計で言うと、映画『スピード』が代表するような時間をテーマにした作品で登場する時計もあれば、登場人物のキャラクターを作り上げるための時計もある。
安藤 あとは、映画で神格化された時計というのもありますね。『ゴーストバスターズ』で登場するセイコーのボイスノートや、『エイリアン2』で着用されたセイコーのジウジアーロ、そして2回目でも記事でも触れた『007』でジェームズ・ボンドが愛用したセイコーデジボーグなど。
広田 そういう視点で、過去の名作映画を見直すのもいいですね。
安藤 ただ、悩ましいのは時計ばっかり気にしていると、ストーリーまったく頭に入ってこなくなる(笑)。「アレ!? さっきあの人が着けていた時計ってなんだろう」って、それしか気にしなくなってきますから。
広田 それは、あるあるですね(笑)。「映画と腕時計の親愛関係」をじっくり楽しむためには、一時停止や巻き戻しはマストかもしれませんね。
安藤 そんなわけで、今すぐにでも、月額もわずかなNetflixやHulu、『相棒』ならTELASAに入会して、じっくりと鑑賞してほしいと思うわけです。
広田 そうですね……って、あれ!? なんだか違う話になってません(笑)?
「時器放談」とは……
マスターピースとされる名作時計の数々。毎回、こだわりの1本を厳選し、そのスゴさを腕時計界の2人の論客、広田雅将と安藤夏樹が言いたい放題、言葉で分解する。
上に戻る 鳥居健次郎=写真 安部 毅=文
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール