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カーキャリア製造のルーツは漁業用フックにあった?

アクティブスポーツを楽しむ人たちがこぞって愛用するキャリアブランドがある。それがスウェーデン発のスーリーだ。キャリアとは、主に車のルーフ上のベースキャリアに装着する、アタッチメントのこと。スキーを、自転車を、サーフボードを安全に持ち運ぶためのプロダクトである。
「1950〜’60年代、スウェーデンの経済は大きく成長しました。多くの人が車を手に入れ、週末は郊外でアクティブに過ごすようになったんです。そこに目をつけたのが当時の2代目CEO、ウィリス・トゥーリン。最初に開発したのは、車のルーフに簡単に装着できるスキーラックでした」。
近年人気が高まっているというベビーカー。こちらの「アーバングライド2」は小回りの利く回転式フロントホイールと、走破性に優れた16インチのリアホイールを装備。片手でも操作しやすいのだ。H102×W69×D104.5cm[使用時] 11万5000円/スーリー(ゼット 0120-276-010)
現在のCEOであるマグナス・ウェランダー氏が、ブランドのルーツについて教えてくれた。
「最初の20年間はキャリアではなく、金属製品を作っていました。パイク(※1)を釣るための漁業用フックをはじめ、ベルトのバックル、燭台なども作っていたんですよ」。
そうしたモノ作りのノウハウが、のちのキャリア製造に役立ったのである。ちなみにブランド名の発音は現地スウェーデンでは「トゥーレ」に近い。そう、創業一族のトゥーリン家に由来しているのだ。
「スキーラックを開発した2代目のウィリスに、創業者である父親のエリックについて聞いたことがあります。エリックはスウェーデン南部の小さな農村で、12人の兄弟とともに育ちました。やがて第一次世界大戦後の経済困窮のなか、豊かな生活を求めてアメリカに渡ります。そして11年後にスウェーデンに戻り、スーリーを創業。強く、自制心のある、働き者の父親だったそうです」。
どんな世界的なブランドも、元をたどればモノ作りの小さな現場に行き着く。現在では実に140カ国で製品を展開するスーリーもまた、例外ではなかったのである。


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