近年のハイボールブームを追い風に、日本全体でウイスキーの需要が拡大している。需要に供給が追いつかず、名門蒸溜所が悔し涙を流すほどにその勢いは凄まじい。
そんななか、特に30〜40代の大人から厚い評価を集めつつあるのがワイルドターキーだ。実際、その名に聞き覚えがある人は多いだろう。しかし実際に飲んだことはない、という人も少なくないはず。
ってことで、このアメリカ生まれのバーボンをググッと試飲してきたのでご報告。
ワイルドターキーって?
ワイルドターキーと言えば“渋い大人が好んで飲む酒”というイメージがあった。しかし、最近は若い世代からも注目を集めているらしい。
人気のヒミツは、バーボンの質を担保するため制定された「米国の蒸留酒に関する連邦基準」が定める基準よりも厳しい独自基準を厳守し、加水量を抑えることで香り豊かな味わいを維持する、本物志向のウイスキーだから。
赤みがかった色と力強い味わいがバーボンの特徴だが、ワイルドターキーは繊細さが違う……らしい。そんなこと言っても、ドカン!ガツン!と来るんじゃないの?
真相を確かめるべく、ひと口いただいてみましょう。
今回試飲したのは、ワイルドターキー8年、ワイルドターキー13年、そして今年だけの限定発売となるワイルドターキー マスターズキープ ボトルドインボンド……こちらは17年の熟成だ。
まずはワイルドターキー8年。その香りは焦げた樽のスモーキーさやバニラのような甘さを思わせるが、実際に飲んでみるとそれとは真逆の“ビリリッ”としたパンチがある。同時に感じるフルーティさは、ライ麦由来のものらしい。
この日案内してくれたブランドアンバサダーの小川尚人さん曰く、「ワイルドターキーはトウモロコシの比率を抑えているので、フルボディのなかにもライ麦のフルーティさが利いています。コーン臭さが少ないので、ビリッとしつつ、飲みやすく仕上がっているかと思います」。
ペアリングに合わせたのはオリーブだ。オリーブの油分が口内をコーティングし、ワイルドターキー8年のビリっとした辛味が抑制され、ウイスキーをマイルドに楽しめるようになった。
続いてワイルドターキー13年。一般的に、バーボンの熟成期間は長くとも10年が限界だと言われている。先ほど飲んだワイルドターキー8年も長い部類だというのに、さらに5年も長く寝かせたというのだから期待大。
飲んだ感想としては、「よりバニラや樽のフレーバーに近づき、味と香りのギャップがなくなった」といったところ。角が取れ、随分まろやかになっているようだ。アルコール度数も8年が50度だったのに対し、13年は45度と飲みやすくなっている。
「ペアリングでは、ビーフジャーキーなどをオススメしています。程よい脂質と肉の旨味が相性よく、美味しく召し上がっていただけると思います。8年もそうですが、少量の水を入れていただくと、よりまろやかに味が感じられますよ」。
ラストはワイルドターキー マスターズキープ ボトルドインボンド。
17年熟成、ボトルで約2万円という高級ウイスキーだが、これはひと口飲んだ瞬間ビックリ。明らかに、飛び抜けて洗練されている。ウイスキーが苦手な人でもその飲みやすさに驚くに違いない。あ〜、美味しい。
「樽由来の熟した木の皮の風味が華やかに香り、余韻も長いこと感じますよね。ブドウの燻製と合わせてみてください。ブドウの熟成感と甘さ、ジューシーさがウイスキーと重なります」。
同じ銘柄のバーボンでも、熟成させた年月によってまったく表情が変わっているのだから面白い。寝かせれば寝かせるほど美味いという単純なものでもなさそうだ。それぞれが個性的で、そのときどきの気分によって好みも変わるだろう。
いや〜、奥が深い。そしてワイルドターキーはどうやらキャンプ、それもソロキャンプに合うらしい。そのヒミツも追ってお届けしたい。
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