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12年勤めた会社を辞めて、フリーになったワケ

運営するゲストハウス「どこにもない家」の出発点は、農的な暮らしをしたいと家を探し、母屋と脇屋のある古民家と出会ったこと。宿には母屋を使用している。
大学から県外へ。学生時代にはバックパッカーとしてアメリカ、インド、ベトナム、カンボジア、モンゴルを巡った。
就職は東京の企業へ。関東を転々とする転勤も経験した。長く地元の外の景色を見続けてきながら、30代半ばで立ち止まる。会社から命じられた、妻と子供3人を残しての単身赴任。その人生は正しいのか? そんな疑問が生まれたからだ。
単身赴任中、妻に田舎で子育てがしたいと相談した。すると賛同され、背中を押された。
そして12年勤めた会社を退職。今から3年前、地元に戻った。そこから駆け出しのライターとして邁進する一方、先述したゲストハウス運営の実現にも乗り出していく。
クラウドソーシングやSNSの活用法など講師業にもいそしむ。
終身雇用が約束された時代ではない。しかし一度所属した組織からの離脱を自ら決めるのは、そう簡単なことではない。
「自分なりの道を歩んでいる人たちは、それなりの覚悟を持っている印象はありますね。
長期的視野を持ちづらく、流されている余裕のない生活ですから、悩んでいますし、苦労しながら自分で選択をしています。
でも僕は長期的視野を持てる方が不自然だと感じているんです。
自然のことを考えたら台風や地震がいつくるのか分からない。先のことは分からないのが当たり前で、だからこそ、今を大切に生きたい。いつ死のうが後悔のない時間を日々送りたい。そういうところに意識が向いています」。
全国展開するLACを利用すれば、各地に住むオンラインだけのつながりだった知人とオフライン交流できる。
長期的に物事を予測して行動を決めるのは難しい。だから、5年、10年ほどの単位で先を見て、“こうありたい”“こういう方向で進みたい”と歩んでいく方向を明確にすることを意識する。目下のところフォーカスしているのは、掛川に腰を据え、地元をより良い街にしていくことである。


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