高校では茶道部に所属。稽古の前後には全員で「この道に入らんと思う心こそ我が身ながらの師匠なりけれ」といった言葉を唱和する。侘び寂びの精神を3年間みっちり学んだ。
「所作の中では、お湯を入れてお茶碗を温める作業が好きでした。お湯のサラサラしてる感じがいいんですよ」。
温泉も愛している。一昨年の冬には高校時代に仲が良かった友人3人で草津温泉を訪れた。
マネージャーの西山晃弘さん(31歳)は、そんな莉子さんを陰に陽に見守ってきた。
「面接もしましたが、『看護師になる』という将来の目標を語るのを見て仕事を任せられそうだなと。実際、そつなく働いてくれています。ミスしたときのリアクションがやたら大きいのは、もう少し何とかしてほしいですが(笑)」。
莉子さんは子供の頃に病気で通院していたとき、精神的にも肉体的にも支えてくれる看護師の優しさに触れた。これが将来の目標にするきっかけだという。卒業は来年。ぜひ、「リアクションが大きい看護師」として患者さんから愛されてほしい。
さて、お会計をして店の外に出たが、最後のミッションがある。「COEDOKIOSK」と名付けられたお隣の直売所で、樽生をテイクアウトできるのだ。
貼り出されたメニューを見ると「人生醸造craft」という変わった名前の銘柄を発見。
聞けば、最先端のAIで年代別の特徴を分析し、そのデータを元に職人が醸造したビールとのこと。オーシャンズ的には「30’BLUE」(700円)をいただきましょう。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
【取材協力】COEDOBREWERY THE RESTAURANT(コエドブルワリー・ザ・レストラン)住所:埼玉県川越市脇田本町8番地1 U_PLACE 1F電話番号:049-265-7857www.coedobrewery.com/「看板娘という名の愉悦」Vol.128好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
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石原たきび=取材・文