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広がりも再発見も。小さいスマートへの大きな期待

アダム・ドライバーの189cmには及ばないものの、安井さんも178cmと長身だ。それでコンパクトなスマートに乗ったら……。そう思ってからは結構早かった。

実用性も選んだのは3代目スマートの4人乗りモデルの「フォーフォー」。色はサファイアレッドをセレクトし、中古車を探すと、幸いなことにすぐに見つけることができた。

愛車の納車からまだ2カ月しか経っていなかいこともあり「今は乗っているだけで楽しい」という。

納車後すぐに首都高デビューを果たしたほか、モデルの仕事にもスマートで出掛けるようになった。先日は1人で会津若松まで出掛けたという。「会いたい農家さんがいたので」。



「趣味」という映像では、4年程前から「安井達郎のVLOG」のYouTubeでの公開を続けている。

「もともとカナダへ語学留学中に、英語の勉強のつもりでYouTubeを漁っていたら、ケイシー・ナイスタットさんの映像に出合ったんです。Vlogという新しいこの映像表現を、自分でもやってみたいなと」。

その一方で、過去にはプロミュージシャンのミュージックビデオも手掛けたというわけだ。



さらに今年9月にはYouTubeに「My Basic TV/ずっと大切にしたいモノカタログ」というチャンネルを開設した。サブタイトルの「ずっと大切にしたいモノカタログ」の通り、ベーシックだからこそ愛着の湧く、プロがこだわる逸品を紹介するチャンネルで、きゅうり農家が愛用するハサミを取材するため、会津若松まで出掛けていったのだ。

Vlogとミュージックビデオに加え、My Basic TVという新たな映像表現に踏み出せたのは、取材の足となるスマートが相棒となったことが大きいようだ。



「スマートで、Vlogの撮影のバリエーションも広がると思うんです。単純にカメラを車載すれば、スマートが無かった頃の映像とは全然違う映像が撮れるし、車の乗り降りやエンジンを始動させる場面、ドアを開ける締める動作……移動ひとつとってもさまざまな映像を挟み込めますよね。

それに、今までは自転車で移動していたから、持っていく撮影機材を厳選してましたが、スマートならこれもあれもと持っていけます。だから映像の幅も広げやすいですね」。

もしも初志貫徹でヤングタイマーのような、いつ故障するかわからない古い車を手に入れていたら、こんな風に積極的に表現の幅を広げようと思っただろうか。



このコロナ禍で、久しく愛知県の実家に帰れていないが、落ち着いたら帰るつもりだという。

「これまで地元を車で巡ったことがないんですが、多分スマートであちこち走り回ったら、意外と地元、面白いじゃん、ってなるんじゃないかな。いろんな再発見があると期待してますよ」。

思いついたらパッと乗って、狭そうな道に出くわしても躊躇なく進める小さな「スマート」だからこそ、安井さんの“やりたいこと”を大きく広げられるのではないか、と思えて仕方ない。

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鳥居健次郎=写真 籠島康弘=取材・文

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