高校を卒業後はアナウンスの専門学校に入学。しかし、どうもしっくりこない。そう感じたまりあさんは「将来の保険」のために夜間コースもある保育の専門学校に通い始める。いわゆるダブルスクールだが、学費を自分で半分出す約束で親の許可ももらった。
「ちなみに、保育の専門学校の近くに『しゃぶ葉』というしゃぶしゃぶ食べ放題のお店があって、今もよく行っています。美味しいうえに食べ放題の時間が11時から16時まで。綿あめやワッフルも作れます(笑)」。
2つの専門学校を卒業後は、ワーキングホリデーでオーストラリアに1年間暮らした。しかし、今年3月に帰国した時点でコロナ禍の真っ只中。とても就活をする状況ではない。
「ここは、たまたま求人サイトで見つけて応募しました。全国の農家さんとつながるというコンセプトも素敵だし、スタッフ同士も本当に仲がいいんです」。
この日もフードカウンターで仲よし4人組が楽しそうに働いていた。好きな芸能人を聞いてみると、回答は写真右から「ミスチルの桜井さん」(みゆきさん)、「千葉雄大」(あかねさん)、「松田翔太」(まりあさん)。なるほど、なるほど。最後の「うーん、いない」(まりかさん)。おっと。
バックヤードのシフト表にはアルバイト全員の誕生日が記されており、いつの間にか社員も加わる。
サプライズの花束とケーキでお祝いされた社員は、「こんなにうれしい誕生日は生まれて初めて」と喜んでいたという。
店内には小さなマルシェがあり、各地の野菜を購入できる。
兵庫県の城崎温泉で生まれたスイーツブランドのフィナンシェやタルトも並んでいた。
さらに、「お茶農家応援企画」として伊勢茶3種類の飲み比べセットを無料で配る。
きびきびと働くまりあさんを見ていると、常に笑顔が耐えない。そう、今はこの新宿のど真ん中がまりあさんの舞台だった。
最後に読者へのメッセージをお願いしますね。
【取材協力】バスあいのり3丁目テラス住所:東京都新宿区新宿3-16-4電話番号:03-5315-0741www.ainoribin.com/3chometerrace/「看板娘という名の愉悦」Vol.127好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
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石原たきび=取材・文