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2020.11.23

時計

セイコーのTVウォッチやオメガを使っていたスパイは誰? 答えは…簡単ですよね?

「時器放談」とは……
さまざまな映画やドラマから“格好いい”を学んだ記憶がある人、多いはず。そんな人たちに向けた企画が進行中。
論客はもちろんこの2人。広田雅将さん(左)と安藤夏樹さん(右)。
今回のテーマは前回に続き映画『007』シリーズの主人公、ジェームズ・ボンド。後編は日本ブランドであるセイコーと、現在のボンドウォッチ・オメガについて。
>1人目『男はつらいよ』車寅次郎編はこちら
 

ボンドにも認められた日本時計、セイコー

安藤 ボンドウォッチを語るうえで、もうひとつの神回が1983年公開の『007/オクトパシー』。これも、ロジャー・ムーア主演作品です(もうひとつの神回はこちら)。
広田 その見所はどのあたりなのでしょう?
安藤 何と言っても、日本のセイコーが誇るデジタルウォッチ「デジボーグ」が登場するんです。
広田 1980年代に出たものですね。確かアラーム、タイマー、デュアルタイム表示、ストップウォッチ、ライトなど多機能なモデルとして一世を風靡した。

安藤 そうです。この「デジボーグ」にはさまざまなモデルがあるんですが、ボンドが着用した時計がいちばん格好いい。
広田 馬蹄型のショックアブソーバーが付いているモデルですね。確かに、今見ても格好いいですね。
安藤 そして、神回たる所以はもうひとつ。
広田 何でしょう?
安藤 セイコーの「テレビウォッチ」が登場するんですよ。劇中ではずっと「デジボーグ」を着けているんですが、また例によってQがいる研究所でこの時計とリンクする装置の説明なんかがあり、そこでふとボンドが横に置いてある時計に「これは何だ?」と気付くんです。
広田 世界初の液晶画像表示方式によるテレビ付き腕時計ですね。
安藤 そうです。するとボンドがカメラを研究室にいる女性の胸の谷間に向け、テレビウォッチの画面上で楽しんでいるとQから「真面目にやれ!」みたいなツッコミが入る。
と、ここまではボンドウォッチ好きの人が知っている内容なんですが……。
広田 え、なんですか!?
安藤さんが所有するセイコーの「テレビウォッチ」。
安藤 実は劇中で登場する「テレビウォッチ」は発売前のプロトタイプで、実際に販売された製品とは仕様が異なるものでした。
たぶん、『007』関係者が記者発表か何かでその存在を知って、発売を待たずして採用に踏み切ったのではないかと。
広田 時代の最先端を巧みに取り入れて映画を作る。『007』シリーズが人気作品であり続けるのは、そうした細かな作り込みも影響しているんでしょうね。
安藤 たかが小道具、されど小道具。映画制作においてはキャラクターの作り込みとも並ぶ重要なものですからね。制作陣の熱量の高さを物語っていると思います。


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