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切っても切り離せないミリタリーとの関係

ジープには本物の響きがある。本物とはつまり、圧倒的オリジナリティとタフネスだ。誰もが「4輪駆動車ってこうだよね」と、直感的に納得してしまうのである。日本市場でコミュニケーションを担当する新海宏樹氏は、その理由をこんなふうに分析してくれた。
「もともと軍用車であったことが大きいと思います。たとえ車輪がひとつ外れても動いてくれる。工夫すればボンネットに荷物も積める。“どこへでも行ける。何でもできる”と評された初代『ウィリス』のDNAが、今も息づいているからではないでしょうか」。
1941年に登場した初代「ウィリス」。台形のホイールアーチやフロントグリルといったジープならではのディテールはこのモデルが元祖。もちろんタフネスや走破性といったモノ作りの哲学もここから生まれている。ニューヨーク近代美術館にも展示される歴史的な1台。
1941〜’45年まで生産された「ウィリス」の逸話は、本国アメリカにおいては伝説的だ。
長距離パトロールから除雪作業までこなし、消防ポンプ車や戦場救急車としても活躍。第二次世界大戦でヨーロッパ戦線を率いたのちの米大統領アイゼンハワーは、「ジープがなければ勝てなかった」と残している。
「この汎用性の高さが、実はジープという名前の由来だという説があるんです。ジェネラル・パーパス・ビークル──日本語で言えば汎用偵察車──の頭文字のGとPをつなげて、“ジーピー”と呼んでいた。それが転訛してジープになったといわれています」。
そして戦後、一般向けモデルの開発を試みたジープはある傑作を世に送り出す。それが’54年発表の「CJ-5」だ。
[上]1954〜’83年まで生産された「CJ-5」。ジープの代名詞的モデルであり、のちの4輪駆動車の代名詞ともなった傑作だ。[下]小型SUVの人気の高まりを予見して’84年に開発された「チェロキー(XJ)」。当時のフルサイズモデル「ワゴニア」に比べ大幅なコンパクト化を実現。
「モデル名のCはシビリアン、つまり一般市民を表しています。軍用ではない初のジープ。高い人気を誇る現行のラングラーに直結するデザインといえます」。
[上]「CJ」シリーズの後継車種として’87年に生まれた「ラングラー(YJ)」は、ジープ中期の傑作。[下]こちらは現行の「グランドチェロキー」。快適な長距離移動を約束する最高級モデルだ。新海氏いわく「車としての完成度の高さが見事」。
丸みのあるボディを採用し、快適さと高い走破性を両立。この「CJ-5」の生産期間は実に30年にわたり、世界150カ国以上で販売されることになる。
ミリタリーを出自として、のちに世界中のオフローダーファンを魅了するジープの歴史は、このモデルによって第2幕が上がったといえる。


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