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Day 31 HOL.
心底聞きたかった「おかえりなさい」。腕をつかむその手の温もりにジンとした

[ユースケ]中に着たTシャツ1万2000円/アー・ペー・セー 0120-500-990、靴10万円/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店 03-6805-1691)、スーツケース7万6000円/リモワ 072-994-5522 [メグム]ニット2万900円/シップス プライマリー ネイビー レーベル、パンツ3万3000円/タナカ(ともにシップス プライマリーネイビーレーベル 03-3561-0552)
早々にホテルをチェックアウトし、見慣れた我が家へと向かう。勝負服のヘアカーフのブルゾンにグレーのハイゲージニット、白いナイロンパンツという軽快な着こなしとは裏腹に、ユースケの足取りは重かった。
それは家族に会いたいという期待が膨らむ半面、既に居場所がなくなっているかもしれないという不安からだ。最寄り駅から住宅街へ続く坂道をわざとゆっくりと上っていく。自宅前に着いたが、ひっそりとしていた。
『本当にオレは歓迎されているのだろうか……。娘のセーターだけ玄関のドアに掛けて、また旅に出ようか』。それにどんな顔をして戻ればいいかがわからない。いきなりドアを開けて家に入っていくのもためらわれるし、かといってインターホンを押すのもおかしい。
家の前を行ったり来たりしていたそのとき、ガチャリと玄関ドアが突然開いた。ユースケは狼狽し、坂道を急ぎ足で下り始めた。すると、誰かに突然腕をつかまれた。振り返るとメグムだった。
「パパ! どこへ行くの!?」「え、いや……偶然通りかかったんだよ」「そんなわけないでしょ! おかえり。みんな待ってるから、もう家に入ろうよ」「そうか。わかった、わかった」。
うれしいような、恥ずかしいような、何ともいえない表情で敷居をまたいだ。
着回しアイテム

【5】「ベルルッティ」のブルゾン
最高級ヘアカーフが贅沢に使われた、フライトジャケット風のレザーブルゾン。独自の色付け技法・パティーヌによるスポット柄がモダンなスパイスに。裏地はカリグラフィの総柄プリント入り。104万5000円/ベルルッティ 0120-203-718
【11】「ジョン スメドレー」のニット
最高級メリノウールが使われたVネックニットは大人のマストアイテム。程良くゆとりのあるスタンダードフィットもポイントだ。3万2000円/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー 03-5784-1238)
【16】「エイトン」のパンツ
米軍のスノーパンツをベースにシルエットを今風にアレンジ。高密度ナイロンは天然繊維のような肌触りと表面のシボ感が持ち味だ。3万3000円/エイトン(エイトン 青山 03-6427-6335)
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」とは……
大手総合商社・亞藤忠物産に勤務している平山ユースケ(47)。順風満帆なエリート街道を歩み、ゆくゆくは役員への出世を目論み仕事に邁進していたはずが、新型コロナウイルスのせいで社内は混乱。在宅時間が増えるにつれ家族とのいざこざも絶えず、心も体も不完全燃焼状態だ。公私ともに、いつ見ても波乱万丈そんな中年男子にファッションの女神は微笑むのか!?
※今回の全着回しアイテムの詳細はコチラ
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay1~2はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay3~4はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay5~6はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay7~8はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay9~10はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay11~12はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay13~14はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay15~16はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay17~18はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay19~20はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay21~22はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay23~24はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay25~26はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season6」のDay27~28はコチラ。
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西崎博哉(MOUSTACHE)=写真(人物) 高橋絵里奈=写真(静物) 武内雅英=スタイリング 古川 純=ヘアメイク 押条良太(押条事務所)=文 大関祐詞=編集・文


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