Day 26 WED.
「あつ森」でまさかのデジタル失恋。何でもない夜のこと、二度とは戻れない夜
「あつ森」の世界でユースケは人気者だった。フレンドのなかで、めっぽうかわいい女性キャラクターがいて、一緒にプレイするうちに親密になり、メッセージをやりとりするように。
そこで『会ってみたいです!』とそれとなく誘ってみたが、思い切り拒否されたのだ。以来、彼女のキャラは画面上から姿を消した。『そうか、あの娘もアイテム交換が目的だったのか……』。
滞在中のホテルを出て夜の街を歩いた。気分はどん底でもお洒落に手を抜かないのがユースケの美学。バンドカラーシャツにターコイズブルーのニットを重ね、ヘアカーフのレザーブルゾンに袖を通した。まるで映画の主人公のような感傷に浸るのだ。
歩道橋の上で立ち止まると、彼女(のキャラ)と一緒に遊んだ日々が走馬灯のように脳裏をよぎった。『何でもないようなことが幸せだったと思う』。もうハーモニカでも吹きたい気分だ。
おまけに家出をしてからというもの、家族からも一向に連絡がない。『仮想にも現実にもオレの居場所はないのかな』。ユースケは白い息を吐きながら、テールランプの列を見つめていた。
着回しアイテム【5】「ベルルッティ」のブルゾン最高級ヘアカーフが贅沢に使われた、フライトジャケット風のレザーブルゾン。独自の色付け技法・パティーヌによるスポット柄がモダンなスパイスに。裏地はカリグラフィの総柄プリント入り。104万5000円/ベルルッティ 0120-203-718
【b】「ユーゲン」のパンツピークドラペルがドレッシーな雰囲気を醸し出すセットアップ。チャコールグレーの生地はメルトン風の起毛感を持つウール100%製。パンツはゆったりとした腰回りから裾にかけてのゆるやかなテーパードラインが特徴だ。4万2000円/ユーゲン(イデアス 03-6869-4279)
お助けアイテムNYブランドから登場したハイゲージのコットンニットは、ガーメントダイによる色ムラやヤレ感がこなれた雰囲気満点。品良くシャツと重ね着するも良し、一枚でラフに着こなすのも良し。ラグラン袖で動きやすさも◎。
西崎博哉(MOUSTACHE)=写真(人物) 高橋絵里奈=写真(静物) 武内雅英=スタイリング 古川 純=ヘアメイク 押条良太(押条事務所)=文 大関祐詞=編集・文