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オープンしてみたら予約殺到

ちなみに、屋外施設のサウナで気になるのが、水風呂。テントサウナでは簡易プールに水をためる方法が一般的だが、浴槽の水風呂以上に水温の調整やキープが難しい。

そこでRoofTop37が導入したのは、フランス製のアイスバスだ。
トライアスロンなどの競技でアスリートがアイシングのために使用するものだそうで、小型のチラー(冷却装置)を装備している優れもの。水温は0〜30度まで微調整可能で、通常は16.5度をキープしている。

水風呂後の外気浴で要となるチェアーも“サウナ師匠”こと秋山さんが選び抜いた海外製のものを置いている。
手前の黒いタイプは、師匠が「今まで座ってきた椅子の中でいちばん“整いやすい”」と太鼓判を押す。ロッキングチェアのように揺れる構造で、サウナ後に座ると無重力感覚を味わえるという。
実際に座ってみたが、肉体が未体験の解放感に包まれてうっとりとしてしまった。何より、スパなどでは良いチェアは争奪戦になるものだが、その心配がないという心の余裕が嬉しい!

本格的なストーンサウナ、キンキンの水風呂、そして極上のチェアから摩天楼を望む外気浴。申し分ない三要素を円滑に繋いでくれるのが、音楽だ。大型施設ではどうしても汎用性のあるBGMを用いざるを得ないところを、ここではTTNEスタッフでDJでもある伍堂英太さんが作ったプレーリストが最高の演出をしてくれる。
「アンビエントなトラックから始まって、サウナが2セット目、3セット目に進むにつれて音楽も上がっていくように組みました。ラストはノラ・ジョーンズが『蛍の光』的に終了の合図として流れます(笑)」。

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サウナ師匠の次なる野望

“サウナー”は本物志向のこだわり屋が多い分、仕掛けるほうも生半可なものは作れない。でも、そうした程良い緊張関係が、結果として世の中に広まる大きなムーブメントの原動力になっている。
今後秋山さんは、女性専用の完璧なサウナをやりたいそう。
「男性優位すぎる日本のサウナ市場へのカウンターであり、女性が整えば男性が、ひいては家庭が整う、という僕の持論を提言したい(笑)。男性が入れなくて悔しい!って思うくらいのものを作って、シーンを活性化したいですね」とのこと。
たかがサウナ、されどサウナ……。秋山さんの溌剌とした表情と肌ツヤは、サウナがもたらした汗と愛の産物に違いない、と感心せずにいはいられなかった。
 
谷川慶典=写真 三木邦洋=文 千野あきこ=編集

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