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ミニバン市場、もっと面白くなる!?

フランス車の「フルゴネット(コンパクトなワークバン)」ってガサツでも汗クサくもない。本格スペック&ワークスタイルだけど日本や北米のものとは、デザインや質感が違う。だから支持されてきたジャンルだと思います。
日本の路上でのフルゴネットの始祖は、まだ同潤会アパートがあった頃の、東京・代官山のフラワーショップのルノー4じゃないかと。いつも八幡通りに停まっていて、あの洒落たオーラが個人的には原体験になっている気がします。それを下地にルノー カングーが初代も2代目もヒットして、今回のシトロエン ベルランゴにいたる、という流れです。
フルゴネットのいいところは、乗用車ベースだから乗り心地や走りで我慢がないこと。欧州でベルランゴはずっと商用車としてベストセラーですが、2代目まではATがなく、日本には正式導入されず終い。この新型はプジョー 308や次期シトロエン C4と同じ車台を使っています。
リアル商用仕様はリアウインドウがはめ殺しですが、日本で発売されているのは、後席でも開放感を味わえるパノラミックルーフとか使い方は自由自在の天井収納があったりと、遊び心が刺激される仕様に。
日本でも商用バンをカスタムした、“遊びギア化”することは多々ありますし、ベルランゴは車中泊こそしんどいものの、ファミリーで遊ぶのにもってこいの車。そして、商用車離れした軽妙洒脱なセンス。ミニバン天国の日本、まだまだ期待したいですね。
ライター
南陽一浩
出版社勤務を経てフリーのライターに。地方やパリなど、フランスに13年間住んだあと、帰国。自動車や旅行、男性ファッションなどフランスの話題を多々取材する。AJAJの新米会員。
 

止まないうれしい悲鳴

同じシトロエンのミニバン、グランドC4 スペースツアラーの立ち位置が「ピープルムーバー」であるのに対し、ベルランゴは「何かをしに行くための車」というポジショニングです。そういったコンセプトはウケるだろうなとは思ってましたが、想像以上でした。
ベルランゴは2018年2月のジュネーブショーで世界初公開されたのですが、その直後から弊社コールセンターへのお問い合わせ数は過去にない数に達し、その約7割が「ベルランゴはいつ日本に入ってくるのか?」という内容でした。
それはもう過去に例がないほどの状況でしたので、予定を急遽、前倒しして「デビューエディション」という特別仕様車を本国に交渉して造ってもらいました。で、昨年10月と11月にそのオンライン予約受け付けを開始してみると、それぞれわずか5時間半で完売してしまったのです。
ベルランゴがこんなにもウケた理由は、まずひとつは「妙にワクワクする車だから」ということなのでしょう。昔熱中していた何らかの趣味を、「ベルランゴを使って、もう一度やってみようかな?」みたいな気持ちにさせてくれるんですよね。
そしてもうひとつは、アクティブで、なおかつ確かな審美眼もお持ちの人々の受け皿になれたということ。「使える」と同時に「デザインも良好」で、なおかつ最新の安全装備も充実している車って、実はこれまであまり存在していませんでしたからね。
グループPSAジャパン 広報室PRマネジャー
森 亨
男性ライフスタイル誌の編集部で長らく旅行やグルメ、時計、車などの分野を担当したのち、2018年から現グループPSAジャパンに。趣味はマウンテンバイクでレースにも参戦するほど。
 

谷津正行=文


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