Day 14 FRI.
ソーシャルディスタンスは保っても、心の距離は密に。それが上司としての務め
『今年の新入社員はつくづく気の毒だ』とユースケは感じている。難関の試験をパスしてようやく内定が出たと思ったら、春先から緊急事態宣言によって、出社どころか入社式もままならない状況に。
ユースケの部署にも3名の新人が配属されたものの、歓迎会は延期され、新人研修のメニューも大幅に短縮された。教育係もテレワーク中のため、まともに仕事を覚えることもできない状況だ。
ユースケはせめてもと、オフィスで新入社員に会えば、必ず積極的に声をかけるようにしている。「調子はどうだ?」「メシ食ったか?」「歯磨けよ!」「風邪ひくなよ!」「実家の親御さんと連絡とってるか?」など他愛のないことだが、立場のある人間に声をかけてもらえるだけでも、社内での自分の存在を確認することができるものなのだ。
ピークトラペルと紡毛素材が上品な雰囲気を醸し出すチャコールグレーのジャケットを、グレーのVネックニットとゆったりとしたシルエットのジーンズで着崩す。そんなユースケのビジネスカジュアルも、新入社員の緊張を和らげるのにひと役買う。ソーシャルディスタンスを保ちながら、精いっぱい親しげな笑顔を浮かべてユースケは話し続けるのであった。
着回しアイテム【B】「ユーゲン」のジャケットピークドラペルがドレッシーな雰囲気を醸し出すセットアップ。チャコールグレーの生地はメルトン風の起毛感を持つウール100%製。パンツはゆったりとした腰回りから裾にかけてのゆるやかなテーパードラインが特徴だ。8万8000円/ユーゲン(イデアス 03-6869-4279)
【11】「ジョン スメドレー」のニット最高級メリノウールが使われたVネックニットは大人のマストアイテム。程良くゆとりのあるスタンダードフィットもポイントだ。3万2000円/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー 03-5784-1238)
【15】「ブラスバンド」のデニムややテーパードがかった中庸なストレート。岡山県の有名デニムメーカー謹製で、ボディは、旧式織機で織られたジンバブエコットンの13.5オンスデニムを使用している。2万800円/ブラスバンド(リアルスタイル 0745-43-6355)
お助けアイテムミラノ生まれのトライアーノといえば、スポーツウェアに使われる高機能素材に高精度転写プリントを施すことで、高級ファブリックのような風合いを再現する技術で有名。新作のマスクもスーツ生地のような上品なプリントがポイントだ。そういえば、
彼らが実践したキャンプもめちゃくちゃセンス良かったっけ。
西崎博哉(MOUSTACHE)=写真(人物) 高橋絵里奈=写真(静物) 武内雅英=スタイリング 古川 純=ヘアメイク 押条良太(押条事務所)=文 大関祐詞=編集・文