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ひと目惚れした新しい相棒

一方、事故後も何とか佐藤さんの相棒として頑張ってきた「カングー」だが、信号待ちでエンジンがストンっと止まったりするようになり、今年2月に買い替えることに。

同じ「カングー」を探したが、丸みのある目でハッチバックの旧型カングーは、先述の通りレアモデル。

以前カングーを購入した店に相談していたのだが、なかなか見つからない。困っている佐藤さんに店が「これなんかどう?」と紹介してくれたのが、ルノー「ラグナワゴン」だ。



佐藤さんが購入したのは、2001年から2006年まで輸入されていた上級サルーンである2代目ラグナのステーションワゴンだ。

エンジンのスタート&ストップは今でこそ当たり前だが、当時は最先端のボタン式。キーの代わりに、カードを差し込むという、先進的な車だ。

とはいえ佐藤さんはそういった部分ではなく「完全に見た目が気に入りました」と言う。ちょうどこのラグナを検討しているという人が来店してきたのだが、「その人が『欲しいんだけど、家族に一応確認しないとなぁ』と言うのを聞いて、僕これ買います!って思わず言っちゃったんです(笑)」。

「カングー」と同じく、100万円以下で購入した。



買ったときは7万kmだったが、1年もしないうちに8万kmまで延びた。カングーのようなひとり旅はまだできていないから、それだけ仕事にガシガシ使っているということ。

「カングーのような高さはないけど、スタイリストとしての仕事を十分こなせるほどたっぷり積めます」。それに、ただふっかふかというわけじゃなく、優しい乗り心地は「スーッと道路を滑るようで絶品」だという。



本当は「今年もラグナワゴンに乗って全国各地でワークショップができるといいなと思っていた」と言う佐藤さん。ところが購入した2月以降、新型コロナの感染拡大が激しくなり、5月には非常事態宣言が出された。現在も思うように遠出が出来ない。

それでも佐藤さんは前を向いている。

職業などいろいろな枠を越えて楽しいことを、やれることから着々と。だからこそ自由が丘でワークショップを開いているのだ。

「ラグナワゴン」のカード型キーを収めるキーケースを自作した。


いずれ自由に動けるようになったら、すぐにでもワークショップやひとり旅に出かけたいという。車に乗る時間も有意義にしてくれる、新しい相棒が側にいるのだから。

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「自由を与えてくる車」。自然体を愛する男のボルボ・240エステート



鳥居健次郎=写真 籠島康弘=取材・文

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