ドラマ「殺意の道程」の見どころは、噛み合わないふたりのリズム感
ドラマ「殺意の道程」で共演しているバカリズムは、芸人界では天才と呼ばれている稀有な人。そう話を振ると、井浦は首を大きく横に振る。ドラマの撮影中はずっと一緒だった井浦だからこそ感じたこととは何なのだろうか?
「ただの天才ではなく、努力ができる天才だと思いました。天才としての才能を活かすための努力を惜しんでいない。自分の仕事に対して満足しないし、常に挑んでいて。天才的なセンスを持っているから、それを活かすための努力と時間を惜しまない。だからこそ、いつも新たなものを見せてくれるのだと思います」。
そんなふたりの劇中の絡みは個性と個性がぶつかり合うことで、自然と生まれたものがあるという。
「微妙な間ですね。ときには引っ張ったり、また引っ張られたりっていう。僕のマイペースなリズムにバカリズムさんのスピードが空回りをする瞬間があったりして、その感じがよかった。バカリズムさんと、自分のリズムの違いを楽しむことができました」。
取材時間も押し迫ってきた中「最後にひとつだけ」と、聞いてみた。それは井浦が興味を抱いている、新たな偏愛物について。
「言語ですね。昨年末に台湾で仕事をしたのですが、現地の人も作品もすべて素晴らしくて。そのときに、世界中の言葉を覚えたらもっと喜びを分かちあえるのに、って思ってから、さまざまな国の言語について考えるようになりました。いろんな国の言語を話せるようになりたいです。これもまたすごく時間と労力がかかることですけど(笑)」。
井浦新の好奇心の強さは、やはりすごい。そして改めてわかったのは、憧れの“井浦新への道程”は、かなり長く険しいということだ。
井浦 新●1974年、東京都出身。’99年に公開の『ワンダフルライフ』で映画初主演。以降、映画を中心にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。WOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」が、本日11月9日(月)深夜0:00よりスタート。ある日、ひとりの男が取引会社社長(鶴見辰吾)の裏切りにあい自殺した。その息子(井浦)といとこ(バカリズム)は、社長に復讐を誓う本格サスペンス。
柏田テツヲ(KiKi.inc)=写真 上野健太郎(KËN OFFICE)=スタイリング 山口朋子(HITOME)=ヘアメイク オオサワ系=文