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2020.10.30

日産「Be-1、パオ、フィガロ」再ブレイク中の3台は通称◯◯◯カー?

「中古以上・旧車未満な車図鑑」とは……

vol.15:「Be-1、パオ、フィガロ」
1987年〜

かつて、国産の1Lクラスのコンパクトカーは「予算のない若者や、初めて車に乗る人向け」の各自動車メーカーの廉価版であり、そこにはメーカーごとにヒエラルキーが存在していた。
例えばトヨタならクラウンを頂点に、マークII>コロナ>カローラ>スターレット、といった具合。「上司より上のクラスの車を買ったら睨まれる」といった漫画のようなことがリアルにあったのだ。

そんなヒエラルキーに一石を投じたのが、通称「パイクカー」と呼ばれる日産の車たちだ。本記事のタイトルの“答え”である。
 

■Be-1(1987年〜)

ヒエラルキーの底辺たる1Lクラスのコンパクトカーでありながら世代を問わず絶大な人気をえ得た最初の車が、1981年に登場したホンダ「シティ」と言われている。
「Be-1」。当時の車両本体価格は129万3000円。キャンバストップ仕様も用意された。
すると「シティ」に続くように日産が1985年の東京モーターショーで「Be-1」のコンセプトカーを発表。これが当時の若者に大いに受けたため、2年後の1987年に限定で1万台が販売されることが決まった。
ところが注文が殺到し、結局購入者を抽選で決めるという異例の事態に発展。以降、「パオ」と「フィガロ」が生まれるきっかけとなった。
また「Be-1」と「パオ」、「フィガロ」は、コンセプトが尖ったレトロ調な車であることを表すため、昔の歩兵が持っていた槍を指す「pike」を用いた「パイクカー(pike car)」と呼ばれるようになった。
ベースである「マーチ」同様、1Lエンジンが搭載され、トランスミッションは5速MTか3速ATが選べた。
「Be-1」のベースは、当時の日産車の最廉価版として1982年に登場した初代「マーチ」。
この車を使って「シティ」の対抗モデルを作ろうと、社内外のチームによるコンペが行われたのだが、そこで採用されたのが、服飾デザイナーの坂井直樹氏のいるチームの案だった。ちなみに彼は以後「コンセプター」として活躍することになる。


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