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実は洒落者だった寅さん

東京都葛飾区柴又、帝釈天の門前町の団子屋「くるまや」の跡取り息子。15歳で妹を残し家出して“香具師(テキ屋)”稼業に足を踏み入れた、自他共に認めるヤクザな兄貴。しかし憎まれるどころか、不思議と周囲から愛されてしまう。

映画『男はつらいよ』に登場する車寅次郎、通称“フーテンの寅さん”は、言わずと知れた国民的人気者である。
安藤 いきなりですが、僕は広田さんを時計界の車寅次郎だと思っているんです。いつも決まったクラシカルなスーツスタイルに、使い込まれたバッグを持っていますよね。その佇まいが、寅さんなんですよ。そこにスタイルが滲み出ているというか。
広田 いや、僕は単に面倒くさがりなだけですよ(笑)。第1作の『男はつらいよ』では、寅さんがスーツを着てネクタイを締めて、コンビ靴を履いている姿を確認できますが、実は寅さんは結構なお洒落さんですよね。
安藤 そうなんです。寅さんは持ち物に相当なこだわりがある。雪駄の鼻緒にはニシキヘビを、底は馬革のコードバンを使っていたらしい。おまけに、腹巻きはカシミヤ製なんて言われてたりもしていて。
広田雅将●1974年、大阪府生まれ。腕時計専門誌「クロノス」編集長。腕時計ブランドや専門店で講演会なども行う業界のご意見番である。その知識の豊富さから、付いたあだ名は「ハカセ」。
広田 確かに、すごくお金がかかっていますよね。
安藤 第1回目は、そんな洒落者の寅さんが身に着けていた腕時計について、ですね。


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