魚を抱えても気にならない黒の安心感
渓流釣りではミリタリー色の強い武骨な装いだったが、海釣りとなればそのスタイルは一変する。
「基本的には、動きやすく汚れの目立たない黒アイテムを選ぶことが多いです。それらをサイズバランスに気を付けながら身に着けますね。釣りスタイルといえば、ゴテゴテ装備するイメージがあるかもしれませんが、個人的には気楽にやれるのが魅力だと思っているので、オーバースペックにならないように気をつけています」。
毎年夏には、ビームスの釣り仲間たちと相模湾でシイラのボートキャスティングゲームを楽しむのが恒例になっているという。そこでは、機動力とリラックス感の両取りを叶えたオールブラックの着こなしが軸となる。
このまま街へ出てもすんなり溶け込む趣だが、Tシャツは吸湿速乾機能に優れ、ショーツはストレッチが抜群に効いた一本。釣りのときにもことさら重宝する。キャップとトップスに、日常使いで馴染みあるブランドを合わせれば、釣り専業ブランドのショーツも洒落て見えるから不思議だ。
「ショーツは6ポケット仕様。だから、船上では荷物の収納にも事欠かないんです」。
やはり、30年のキャリアは伊達ではない。
バス釣りから渓流、海まで網羅する横溝さん。それぞれのシーンに合わせて着こなしを巧みに切り替える姿は、ベテランの風格に溢れている。
「子供の頃は水槽を泳ぐ熱帯魚に見とれ、実家近くの池で始めたバスフィッシングは未だに飽きません。大人になった今も、自然の中で感じる開放感や釣ったときの快感は変わらないですから、おそらく一生続けていく趣味なんだと思います」。
そんな童心に帰れる時間を、釣り人の心を知り尽くした専門ブランドと気心知れたファッションブランドのアイテムが支えている。
「アウトドア好き業界人のOFF着事情」とは……頼もしさを得て、楽しさを犠牲にするーーそんなアウトドア服はもう勘弁。じゃあ、お洒落な業界人はどんな服でアクティビティを楽しんでいるのか。見た目も機能も諦めない、アウトドア好き業界人のOFF事情。
上に戻る 菊地亮=取材・文