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昭和天皇も愛した「シルヴァーゴースト」

1904年の創業以来、2気筒の「10HP」、3気筒の「15HP」、4気筒の「20HP」、6気筒の「30HP」と車種を増やすロールス・ロイス。
この頃から、ロールス・ロイスのデザインアイコンであるパルテノン神殿をモチーフにしたグリルが採用されるようになった。
余談だが、ロールス・ロイスの象徴であり、フロントグリルの上に鎮座する「スピリット・オブ・エクスタシー」は、自動車雑誌の編集者がマスコットとして装着。1911年頃から公式マスコットとなった。
第二次世界大戦前は、主にエンジンや足回りなど“シャシー”部分をロールス・ロイスが、ボディや内装は名門コーチビルダー(馬車製造業出身も多い)が手掛けていたこともあり、多くの富裕層を獲得してきた。
写真は「シルヴァーゴースト」。すでに先端にはスピリット・オブ・エクスタシーやパルテノングリルが見てとれる。
最初に世界的な名声を得たモデルは、「30HP」に変わる新型6気筒エンジンを搭載した「シルヴァーゴースト」だ。
“世界最高の車”とも称される超高級車で、世界中の富裕層や王族に愛され、日本では、大正天皇、昭和天皇の御料車として用いられた。「シルヴァーゴースト」の生産が終了したのは、1925年。その後継モデルは、今でもフラッグシップモデルとしてその名を残す「ファントムⅠ」である。
ロイスは技術者としてのこだわりが強く、信頼性の高い車を作ることにこだわった。こうして熟練工によるハンドクラフトが生み出す高い耐久性や、こだわり抜かれたマテリアルによる贅沢な内外装により、高級ブランドとして確固たる地位を築いたロールス・ロイス。
1931年にはイギリスの自動車メーカー「ベントレー」を傘下に納めるなど、順調に成長を続けた。2つの世界大戦も乗り越え、1947年には量産モデルである「シルヴァーレイス」、1949年には「シルヴァードーン」と、現在までそのモデル名が続く車種が発表されることになる。
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BMWグループとして生まれ変わる

最初の転機が訪れたのは1971年。
第二次世界大戦中に参入した航空機のジェットエンジン事業の不振で、経営破綻してしまう。自動車部門は新たに「ロールス・ロイス・モーターズ」として、一方、ジェットエンジンを含む工業部門は「ロールス・ロイス・ホールディングス」として再出発。空港などで間近から飛行機を見ると、ロールス・ロイスのロゴを冠したエンジンを確認することができる。
ロールス・ロイス・モーターズとなってからも、究極の一台にこだわる姿勢は変わらない。むしろ、そのほかの高級車メーカーとの差別化を図るために、より走る調度品とも言うべき超高級感が高まっていった。
その分野の最高峰を指して“○○のロールス・ロイス”(ex.砂漠のロールスロイス)と慣用句のように使用されるほどの存在となっていく。
写真は1980年代に販売されていた「ファントムVI リムジン」。
そして2003年、紆余曲折を経てベントレーをフォルクスワーゲングループが、ロールス・ロイスをBMWグループが引き継ぐことになり、また新たなスタートを切る。
新生ロールス・ロイスとなっても誰もが認める上質さや快適さ、高級な佇まい、そして、駆使された最新テクノロジーによるプレステージカーを造り続けるロールス・ロイス。
2019年には、116年の歴史で最高の売上げを記録したことも、その確固たる存在感を表しているだろう。
写真は2016年、ロールス・ロイスが誕生して100年となるメモリアルイヤーに、次の100年を見越して発表されたコンセプトカー「ロールス・ロイス ヴィジョン・ネクスト100」。
ロールス・ロイスのオーナーになれるのは、一部の限られた人間だけかもしれない。
しかし、車好きでなくともその世界観を知るほどのブレないモノづくりが、ロールス・ロイスを“究極の贅沢”として、誰しもが憧れる存在にしているのだ。貴重でエクスクルーシブなブランドの進むこれからの未来は、楽しみで仕方がない。
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