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熟成3:選べるパワートレイン

パワートレインの選択肢も増えた。マイナーチェンジ後の2017年10月に電気自動車の「e-ゴルフ」と、プラグインハイブリッドの「GTE」が追加された。次いで2019年8月には、「ゴルフ」としては久々のディーゼル車となる、2Lディーゼルターボ×7速DSG×FFというTDIコンフォートラインも加わった。
モデル後期でこれだけ追加されるのは異例。中でも「e-ゴルフ」の投入は極めて異例といえるだろう。なにしろ本国では2020年にほぼ同サイズの電気自動車「ID.3」がデビューし、秋から納車が始まる予定だ。
当然、「e-ゴルフ」が投入された2017年時点では「ID.3」の開発が進んでいたはずなのに、敢えて導入された。「ID.3」が登場すれば、「e-ゴルフ」は恐らくラインナップから外れるはず。別の見方をすれば、「e-ゴルフ」のような「見た目はほかのゴルフと変わらない電気自動車」は、これが最初で最後のモデルとなりそうだ。
電気自動車「e-ゴルフ」。1回の充電で301km(JC08モード)走る。
またモデルの拡充のほかにも、細かな進化バージョンが追加されている。2019年2月はベース車+15psとなる最高出力245psの「ゴルフGTIパフォーマンス」が追加された。
次いで2019年10月には、最高出力が290psにまで高められるなど、レーシングマシンのように走行性能が磨き上げられた「ゴルフGTI TCR」が600台限定で販売された。
ほかにもプレスリリースには載らないが、ゴルフは毎年のように足回りのセッティングを改良していることで知られている。
特にオプションの乗り心地の特性を「コンフォート」から「スポーツ」までの4段階から任意に選べるDCCを選べば(GTIパフォーマンスは標準装備)、快適な街乗りから、気持ち良く高速を飛ばす走りまで、まさに千両役者のように“使える”車になる。「シリーズ最強のRに次ぐGTI」という立ち位置が、年を重ねるうちに明確となり、それに準じた“乗り味”が追求された結果だろう。
GTIは、公道でそのパワーをすべて引き出すのは難しいほど高性能モデルだが、DCCを標準装備していることもあり、街での乗り心地はとても優しい。普段の買い物などに使いたい妻と、高速では気持ちよく走りたい夫との兼用車としては、最適解のひとつだろう。
「ゴルフ」は「ビートル」のあとを継ぎ、国民の車として誕生した。
そのため人々の暮らしの進化に合わせて成長してきたわけだが、成長のタイミングは何もフルモデルチェンジだけではない。
人々の暮らしに沿った新技術やセッティングが見つかれば、その都度、惜しみなく投入されている。7代目の熟成後期モデルは、デビュー時点とは別モノの“7代目”と言えるほど、しっかり成長しているのだ。
「味わい深い、熟成車」とは……
ひとつの車種でも、マイナーチェンジはもちろん、実は毎年のように小さな改良が施されている車は多い。ひとつのモデルの後期ともなるとその“熟成”はかなり進んで、ワインのよう深い味わいに。そんな通の間では人気の「後期モデル」は、我々にも当然、美味しい車なのだ。上に戻る
籠島康弘=文


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