当代随一のパフォーマンスを宿す定番モデル
懐中時計の時代から自社製ムーブメントの開発・製造に注力していたロンジンは、手巻きムーブメントの品質においても絶大な評価を受けている。
ロンジンが軍に納入したミリタリーウォッチは一部を除くと、スモールセコンド、またはセンターセコンド仕様の手巻き時計に大別できる。
つまり、該当するモデルはすべて、ミリタリーウォッチ固有のデザインコードと、ヴィンテージ屈指の手巻きキャリバーを同時に堪能できるという優れものなのだ。
代表的な3型を紹介しよう。
・ロンジン ドイツ陸軍 DH ブラックミラーDL第二次世界大戦時の1942~43年にかけてドイツ陸軍に支給された通称「DH」は、さまざまなメーカーのバリエーションがあり、ロンジンは約2000本ほど納入していたと言われている。
特筆すべき点は、外装の仕上げにある。軍用時計では珍しいミラー仕上げの文字盤、小ぶりのケースに迫力を与えるステップベゼルなど、ロンジンの卓越した技術が垣間見れるディテールが満載。
・ロンジン イギリス陸軍 W.W.W. グリーンランダー第二次世界大戦でイギリス陸軍が使用した「W.W.W.」シリーズ。全12ブランドのうち、ロンジンのモデルは異彩を放っている。
最大の特徴は、他社の「W.W.W.」モデルよりもひと回り大きな37.5mm径のケースサイズにある。耐震装置付きのムーブメント、防水仕様の風防などの仕様からも、優れたスペックを備えていたことがわかる。
ちなみに、“グリーンランダー”という異名は、1950年代の初頭にグリーンランド遠征でイギリス陸軍部隊がこの時計を使用したことに由来する。
・ロンジン チェコスロバキア空軍 初期型 ポーセリンダイヤル数あるロンジンのミリタリーウォッチで最人気候補として挙がるのが、“ラージクッションケース”の呼称で愛されるチェコスロバキア空軍モデル。
40mm径のケースに収まる懐中時計用のムーブメントは、大きなテンプを備えているため、メンテナンス次第では十分な精度を保つことができる。
このモデルは、初期・中期・後期と3つのタイプが存在し、搭載されるムーブメント、文字盤の材質、針の仕様、ケースの構造などが異なっている。
ポーセリンダイヤル、コブラハンド、ネジ止め式のスナップバックケース、「Cal.15.94」を備えた初期型は、まさに“クラシックの象徴”といった面構え。
超名門ならでの圧倒的なクオリティ。ロンジンのミリタリーウォッチが色褪せない理由はここにある。
3/3