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彼とスタンツァーニはさほど変わらない年齢だったし、フェラーリ、マセラティという当地の重要なメーカーで、より実践的な経験を積んでいたのだから。その答えはこういうことだ。
フェルッチョが求めていたのは、単なるエンジニアとしての才能ではなかった。つまり、マーケッターでありセールスマンでもあって、広くランボルギーニのブランドについて考えることのできる才能だったのだ。
カウンタックの設計に勤しむスタンツァーニ(写真:パオロ・スタンツァーニ・アーカイブ)
カウンタックの設計に勤しむスタンツァーニ(写真:パオロ・スタンツァーニ・アーカイブ)
スポーツカーの聖地たるモデナ地区では、経験を積んだ有能なエンジニアはごろごろしていた。新しいプロジェクトを開始すると言えば、凄腕は自然に集まってくる。しかし、ランボルギーニをランボルギーニたらしめるには、「何が必要であるか」というブランディングを理解し、顧客の好みを反映させたモノ作りができなければならない。
それができるのは、スタンツァーニ以外にはいないとフェルッチョは見抜いた。それに、ダラーラの心がレースの世界から離れられないことも……。

「ウラッコ」そして「カウンタック」の開発へ

スタンツァーニは早速、2つの進むべき方向性を決定した。
1つは、厳しくなっていく安全規制や排ガス対策などへの対応を考え、販売数量を確保できるモデルの開発だ。それはランボルギーニのDNAを持ちながらも比較的安価で、ポルシェ「911」のコンペティターとなるようなモデルであった。今までのランボルギーニのラインナップになかった新しいセグメントのスポーツカー、「ウラッコ」のプロジェクトがスタートしたのだ。
「ウラッコ」はV8エンジンを搭載した4人乗りモデル(写真:ランボルギーニ)
「ウラッコ」はV8エンジンを搭載した4人乗りモデル(写真:ランボルギーニ)
もう1つはミウラの後継であり、ランボルギーニDNAのショーケースたるフラッグシップモデルだ。彼はミウラにおける経験から、スーパーカーオーナーのマインドをよく理解していた。スポーツカーとしての基本性能も重要であるが、それよりも重要なのはそのクルマの持つ独特の個性であり、それが自分のためだけにあるというエクスクルーシブさであった。
ランボルギーニのDNAであるV12エンジンを搭載し、ミッドマウント・レイアウトを採用することは言うまでもないが、スタイリングも、ユニークで皆に驚きを与えるものでなければならない。そこで、ミウラに続いて未来的かつ、アグレッシブなテイストを持ったカロッツェリア・ベルトーネにデザインを委託することを決めた。ここに「カウンタック・プロジェクト」が誕生した。


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