カウンタックのエンジニアリング開発は、ミウラの欠点をつぶしていくことから始まった。
ミウラがたった5年で生産中止になった理由でも述べたように、横置きレイアウトによる根本的な欠点を解決するため、新たに縦置きレイアウトを採用した。
しかし、縦置きレイアウトはホイールベースが長くなってしまう欠点を持つ。そこでスタンツァーニは、通常とは180度向きを変えてエンジンをレイアウトし、トランスミッションをフロントに置いた。さらにできるだけトランスミッションを客室内に食い込ませることで、エンジンなどの重量物を前方へと追い込んだ。
その結果、ホイールベースは横置きのミウラより短い2450mmを達成した。まさに画期的なアイデアである。また、このレイアウトの採用により、トランスミッションからダイレクトにシフト操作を行うことが可能となり、ミウラで悩まされた曖昧なシフト・フィーリングも解決された。
今までフロントに設置され、リアのエンジンから長いホースで繋がれていたラジエーターは、エンジンルーム内へと移動された。小型なラジエーターを左右に1つずつ配置することにより、重量バランスも改善され、室内が灼熱地獄になるミウラの問題点も解決された。
それだけではない。大型のラジエーターが車体前部からなくなることで、フロントエンドのデザインが自由になるという大きなメリットを享受できたし、フロントオーバーハングのマス軽減にも寄与した。これはスポーツカーとして重要な、シャープかつニュートラルなハンドリングの達成のためにたいへん重要なファクターであった。
スタイリングはガンディーニに依頼
カウンタックは、その幅広く低い(全幅1890mm/全高1070mm)プロポーションから、写真では大きなクルマであるかのように感じるが、実際はかなりコンパクトだ。
まだ衝突安全性に関して厳格ではなかった時代だからできたパッケージである。効率よくまとめられたメカニカルコンポーネンツに沿った、無駄のないボディ形状を持っているのだ。
スタイリングを担当したのは、カロッツェリア・ベルトーネのチーフデザイナーであったマルチェッロ・ガンディーニであった。ミウラの開発で彼と意気投合したスタンツァーニは、迷うことなくガンディーニを指名した。その開発においては、ミウラのときとは異なり、2人は直接向かい合って細部までを決め込んだとスタンツァーニは語る。
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