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乗ってる人はきっと育ちがいい人

ざっくり言うと、セダンがスーツ、SUVがカジュアルで、ステーションワゴンはその中間のジャケパン的な立ち位置だ。ジャケパンのいいところは、ネクタイやポケットチーフなどちょこっと工夫をすればフォーマルな場面にも耐え得るし、反対にスポーティな方向に寄せることもできる幅の広さ。
ま、ジャケパンにもいろいろある。きれいに弧を描くルーフラインからキュッと引き締まったお尻にかけての造形など、クーペっぽさを感じさせるこの車の場合は、ややエレガンス寄りのジャケパンだ。
ボディサイズは日本の道路事情、駐車事情でも扱いやすいグッドサイズ。最近のメルセデス・ベンツのデザイン流儀に則って、ギラギラ感やオラオラ感を抑えた“良家出身”な佇まい。全体に、身の丈に合った趣味の良いジャケパンで、老舗セレクトショップでコーディネイトした印象だ。
乗ってみれば運転しやすくて乗り心地も快適な“ザ・メルセデス”。「ハイ、メルセデス」と呼びかけるとエアコンの調整からオーディオの曲探しまでやってくれる音声認識のインターフェイスや、立体駐車場にも余裕で入れられる車高など、ガンガン使い倒せる。
面白いのはエンジン選びで、ディーゼルを選ぶとタフなSUV風味、ガソリンだと洗練されたセダンの味わいに。ちなみに2種類のAMG仕様は感涙モノの速さと上質さで、日本で普段使いするには最強かも。
モータージャーナリスト
サトータケシ
出版社勤務を経て独立、フリーランスのライター/エディターとして多方面で活動する。愛車シトロエン C6のパワステからオイルが漏れ、特別定額給付金がすぐに消えたという噂が……。
 
 

エレガンスと多用途性を両立

2011年に登場した2代目Bクラスを皮切りに、メルセデスのFF系アーキテクチャーは拡張性の高い構造に刷新。それを受けてAクラスのみならず、SUVのGLAや4ドアクーペのCLAといった新しいモデルが続々と生まれることとなった。
CLAシューティングブレークもそのひとつだ。そもそも狩猟用のワゴンを指すシューティングブレークは、積載能力などの機能性というよりも美しさで豊かなライフスタイルを彩ることに重きが置かれてきた。
CLAシューティングブレークはFR系アーキテクチャーのCクラスステーションワゴンと車格がほぼ同等なこともあり、新型でも競合が予想されるが、取り回しやすさや居住性、後方視認性などを譲る代わりにいかにもスペシャリティ的な佇まいを武器に棲み分けを仕掛けている。
デザインも前型よりクリーンなテイストでまとめられており、多くのユーザーを惹きつけるだろう。
省燃費のクリーンディーゼルから421PSをマークするAMG銘柄まで、エンジンバリエーションは多彩だが、いずれにも共通するのは走りのテイストがスタイリングに見合った上質感をきちんと織り込んでいることだ。
例えば同じエンジンを積むAクラスに比べると、音、振動の遮断は確実に一枚上手。一方で運動性能の損失は最小限にとどめている。エレンガンスとスポーティネスをうまく折り込みながらワゴンとしての多用途性も兼ね備える、稀有な存在感を放つ一台だと思う。
自動車ライター
渡辺敏史
出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。
 



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