「“職遊融合”時代のリアルライフ」とは……近年耳にするようになった「ワーケーション」という言葉。「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語である。今まさに、このワーケーションのためのさまざまな施設が増えつつある。
なかでも、カジュアルなスタンスでサービスを提供するのが「
リビングエニウェアコモンズ(LAC)」である。その拠点のひとつである会津磐梯を活用する橋村和徳さんに話を聞いた。
| PROFILE 株式会社ヴィレッジインク 代表取締役 橋村和徳さん(46歳) 1973年、佐賀県生まれ。テレビ局、ITベンチャーを経て、2009年にヴィレッジインクを設立。西伊豆のビーチにプライベートキャンプ場を開き話題となる。キャンプ場運営を始め、無人駅の再開発など「地域に本来備わる資産」を活かした事業を展開する。 |
都市生活の価値の見直しを
「さっきまで子供たちと用水路で遊んでいたんです。クロゲンゴロウが採れたようで、ずいぶん喜んでました」。
家族とともに会津磐梯を訪れた橋村和徳さん。彼が経営するヴィレッジインクの事業はかなりユニークだ。船でしか行けない1日1組限定のキャンプ場を運営したり、山奥の無人駅に宿泊施設を造ったり。
「僕は佐賀県唐津市の出身。小さい頃から浜辺でキャンプを楽しんでいたんですよ。今思うと野宿のようなものでしたが(笑)」。
キャンプに親しみはあったが、大学を卒業していきなり起業したわけではない。14年に及ぶ社会人生活を経て、満を持してスタートしたのである。
「会社員時代に、部下を連れてキャンプに行ったことがありまして。そのとき、チームビルディングに役立つと実感したんです。1回の飲み会よりも1回のキャンプ、というわけです」。
そんな橋村さんだから、自然豊かな場所に拠点を持つリビングエニウェアコモンズでの「職遊融合」は水が合うのだろう。
「ここには“新しい働き方をつくる”というテーマが根本にあります。今、都市部での高コストの生活に疑問を感じ始め、地方での暮らしに注目している人も増えていると思うんです」。
新型コロナウイルスの影響も手伝って、これから一気に働き方、ひいては生き方の大変革が起こるということだろうか。
「世間ではポストコロナ、アフターコロナといわれていますが、実際はまだ第2波も来ていません(注:取材時)。変化が起こるにしても少し先のことだと思っています。もちろん個人的には、地方での仕事の創出は、素晴らしいことだと確信しています」。
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