「丘ダイバーのためのダイバーズウォッチ」とは……時計は実用ツールではあっても、万が一故障しても車のように直接人命に関わるものではない。
だがダイバーズウォッチは例外だ。ダイバーにとってのライフラインであり、潜水中の動作不良や水没は致命的でもある。
しかも自然を相手にする以上、技術も経験則に基づき、時間をかけた知見によって改良を重ねるほかはない。
つまりロングセラーのダイバーズほど長く使われ、より多くの情報を開発にフィードバックすることで機能は磨かれていく。そんな熟成された定番ほど、ダイバーズウォッチとしての信頼につながるのだ。
細部まで磨かれた質実剛健な定番
オメガ/シーマスター ダイバー300M マスター クロノメーターオメガのダイバーズウォッチの歴史は古く、豊富なラインナップにはよりハイスペックなモデルもある。だがあえてこれを選んだのは、過不足のない機能と、実績に磨かれた実用性を備えているからだ。
このダイバー300Mのルーツとなるモデルは、シーマスターを代表するダイバーズとして1993年に登場。これを着けたフランス人ダイバー、ローランド・スペッカーがヌーシャテル湖で80m淡水フリーダイビング世界記録を達成し、その性能を実証した。
以来改良を重ね、一昨年フルモデルチェンジ。マスター クロノメーター取得のムーブメント搭載始め、レーザー加工で波模様を施したセラミックスの文字盤や、ぶつけやすいベゼルリングにも同様にセラミックスを用い、傷から守り、エナメルのインデックスで退色を防ぐ。
決して目立つ派手さはないが、こうした細部を見るにつれ、信頼は増すのだ。
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