1955年のパリサロンでシトロエン「DS19」が発表されると、「まるで宇宙船が舞い降りたような車だ」と人々は驚いた。 さらに、その見たこともない車には、従来の車にはない「ハイドロニューマチック・サスペンション」が備わっていると知るや人々はさらに熱狂し、発売初日だけで1万2000台もの注文が殺到したという。 そんな「DS19」という伝説的なモデルの、イノベイティブでアバンギャルドな価値を継承するブランド、DSオートモビル。 あの衝撃から約60年後の2018年、同じくパリサロンでEVスポーツコンセプトカー「DS X E-TENSE」を発表し、再び世間を驚かせた。
左サイドのバタフライドアを開ければシートは一座、右サイドのガルウイングドアを開ければ前後に一座ずつという、3人乗りの左右非対称のフォルム。バタフライドアの左サイドにルーフはないが、右サイドはクリアガラスで覆われている。 もちろん「DS19」同様、世間を驚かせたのは見た目だけではない。 「DS X E-TENSE」はまず100%電気で走るスポーツカーだ。DSオートモビルは2015年から電気自動車のF1ともいうべき、フォーミュラEに参戦しているが、当然ここでの知見が活かされている。さらに左右非対称はボディだけでなく、“ドライブ”自体も左右で分けられているのだ。