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注目その3
「セイコー メカニカルダイバーズ 復刻デザイン」

最後にセイコーの名作ダイバーズウォッチの復刻を。現在もダイバーズウォッチの分野では世界的に高い評価を得ているセイコーだが、その原点は1965年のファーストモデルにある。
セイコーダイバーズ 55周年の記念モデルとして発表された3モデル。左から「SBEX009(6月発売予定)」「SBEX011(7月発売予定)」「SBDX035(8月発売予定)」。詳細は下記。 ※発売日は変更となる可能性があります。
発表から55周年となる今年、ファーストモデル(上の写真の「SBEX009」)を含むレジェンドダイバー3種を「メカニカルダイバーズ 復刻デザイン」という形で発表した。
この復刻のエラいところは、オリジナルの世界観はしっかりと守りつつ、適度に今っぽさを上手に取り入れているところにある。まずはなんとも言えない文字盤とバンドの色味。オリジナルではブラックだったが、今回は品のいいブルーグレーが採用され、程良いアクセントになっている。オリジナルを持っていても、カラバリとして欲しくなる。
「SBDX035」ベゼル部:エバーブリリアントスチール、胴部:純チタン、プロテクター部:セラミックス、52.4mm径、自動巻き、世界限定1100本 45万円/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ 0120-061-012)
ケース素材には、腕時計では初めて、エバーブリリアントスチールが用いられた。この素材はステンレススチールを上回る耐腐食性を持つことで知られている。
ストラップ素材には現代のダイバーズウォッチの主流である強化シリコンを採用しているが、デザイン面でファーストモデルに本来つくべき「トロピックバンド」(ファブリック調のラバーバンド)を再現している辺りがニクい。こうした女子からしたらどうでもいいような部分に手を抜かない姿勢こそが、モノに力を与えるのだ。
「SBEX009」エバーブリリアントスチール、39.9mm径、自動巻き、世界限定1100本 65万円/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ 0120-061-012)
ちなみに、オリジナルのセイコー ファーストダイバーといえば、万人の憧れ、フーテンの寅こと車寅次郎の初期の愛用機であることを忘れてはならない。
寅さんはトロピックバンドをブレスレットに替えて使うことで、スポーティさを適度に抑えつつ、軽快洒脱な人間像を印象付けていた。
「SBEX011」エバーブリリアントスチール、44.8mm径、自動巻き、世界限定1100本 70万円/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ 0120-061-012)
稀代の洒落者としても知られる渥美 清さんが今生きていたならば、このブルーグレー文字盤を見てどう思うだろうか。きっと悔しさのあまりこう言うに違いない。
あの名シーンになぞらえて「わけを聞こうじゃねえか」と。
「豊作、復刻時計」とは……
2020年は、さまざまなブランドから復刻時計が大豊作。我々が生まれる前に作られたヘリテージモデルから、懐かしい’90年代のあのモデルまで、見た目も気分も昔に巻き戻してくれそうな良質復刻時計をご紹介。上に戻る
安藤夏樹=文


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