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2020.06.09

ライフ

渡辺真史がセレクト。東京の色気を感じる青山の路地裏店「なるきよ」

青山の路地裏に響く、弾む会話と絶えない笑い声。そのもとを辿ると、ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター・渡辺真史さんがいた。
お相手はどっしりとした巨体に、強烈な福岡訛りがカッコいい、居酒屋「なるきよ」店主の吉田成清さんだ。
渡辺真史●2003年にDLX CO.,LTD.を設立し、ベドウィン & ザ ハートブレイカーズをスタート。ディレクターとしてその辣腕を振るう。
渡辺真史●1971年、東京都生まれ。10代の頃からモデルとして活躍し、武蔵野美術大学で学んだ後、渡英。2003年にDLX CO.,LTD.を設立し、ベドウィン & ザ ハートブレイカーズをスタート。ディレクターとしてその辣腕を振るう。
渡辺 いつも美味しいごはんを、ありがとうございます。なるきよには、“ここにしかないもの”がありますね。
吉田 そんな……。えらい褒め言葉、ありがたいことです。
渡辺 料理に限らず、店内の空間が唯一無二。それはお店に成清さんの“好き”が凝縮しているからだと思うんです。そういえば、こうやってきちんとお話しするのは初めてかもしれませんね。
吉田 表に出るのは得意じゃないし、料理人は厨房に立ってナンボですから。
渡辺 たとえ顔を合わせなくとも、成清さんは訪れる人を楽しませてくれるからすごい。自分の好きを素直に発信してほかと差別化できるって、とても素敵です。しかも、多趣味ですよね。
吉田 僕、若い頃は洋服を作る仕事に携わりたくて、大学時代は古着店でバイトもしました。実は今でも憧れていて、店オリジナルの紋を入れた制服を作ったり。服以外にもデザインするのが好きで、使う皿や器の9割は僕が考えて作家さんに焼いてもらっています。
渡辺 食器のセレクトや内装、いたるところに成清さんの個性が詰まっている。
居酒屋「なるきよ」
吉田 椅子ならマリオ・ベリーニが手掛けたキャブが格好いいとか。音楽なら1930〜’40年代のカルチャーを感じるものが好きで、集めたレコードからBGMを作ったり。あとは、オネエちゃんが好き(笑)。
渡辺 ははは。成清さんらしい(笑)。
吉田 そういうエロス、色気って大事だと思うんです。僕ら田舎もんにとって、東京の色気って強烈ですよ。新宿、渋谷、六本木、すべての街で夜のスタイルが違っていて刺激的。16年前、ここ青山に店を出したのも、六本木や西麻布、渋谷を目指して夜の遊び人が通る“抜け道”だったから。
僕も昔は骨董通りに棒を立て、倒れた方角にあるクラブにその夜は行く、なんて決めていたくらい(笑)。そういう遊びが週末にあると月曜日からテンションが上がるし、街も人も元気になる気がするんです。
渡辺 女性が見たら少しギョッとするようなポスターが貼ってあったり。でもそれがすぐに笑いに変わるというか、絶妙なツボを突いていて。それが店内のクリエイティブな雰囲気につながっている。
吉田 ベベさん(渡辺の愛称)は洋服で世の中の人を格好良くする。僕は料理を作って皆さんの楽しい時間のお手伝いをする。だからこそ自分が行きたいと思う店、それを突き詰めたおもてなしをするだけです。
なるきよ
住所:東京都渋谷区渋谷2-7-14
電話番号:03-5485-2223
営業:18:00〜24:30 不定休
若木信吾=写真 増山直樹=文


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