OCEANS

SHARE

③スッキリ飲みやすいドイツ・ロゼ

「ベッカー プティ ロゼ」 ヴィンテージ:2018、ブドウ品種:ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、ポルトゥギーザー、ドルンフェルダー、産地:ドイツ、市場価格:2500円前後
ラストは、ドイツのファルツ地方で造られるロゼワイン。
「一般的なワインのアルコール度数は13%〜15%が主流ですが、ドイツワインは11%程度とアルコール度数が低めで、非常に飲みやすいんです」。
生産地によって、アルコール度数も異なる。これも知っておきたい教養のひとつである。
渡辺さんは、「日本ではロゼワイン=安くて甘い、という誤解が広がっていますが、私はロゼをもっと楽しんでもらいたいと思っています」と、その胸の内を明かす。
「このロゼは、酸や骨格がしっかりしていて、香りの強い中華との相性が良いんです。中華といっても高級である必要はありません。餃子やラーメンなど、庶民的なメニューによく合います。旨みたっぷりなのに飲み心地はスッキリしているので、口のなかの脂っこさを流してくれます」。
華やかなイメージの強いロゼワインに、まさかガッツリ系中華を合わるなんて。どうやら今一度、ロゼワインを見つめ直したほうがよさそうだ。

ちなみに、渡辺さんにご自宅でのワインの嗜み方をうかがうと、なんとも意外な答えが返ってきた。
「自宅ではお料理に合わせてワインを選びますが、氷を入れたりレモンを搾ったり、ソーダ水で割ったりもします」。
えっ! そんなことしたら渡辺さんから「ナンセンス!」と怒られそうだけど……。
「『教養としてのワイン』という本を出した身ではありますが、“白には魚、赤にはお肉”みたいなルールなんて無視して、好きなようにワインを楽しめばいいんです!(笑)。もっと気軽に楽しんで、そのなかで『ワインを本格的に勉強したい』と思う人が増えてくれたら嬉しいです」。
数々の高級ワインに向き合ってきたスペシャリストだからこその説得力である。
渡辺さんが日本代表を務める世界有数のワインオークション会社「ザッキーズ」では、昨今の時勢を受け、オンラインでのオークションも開催する予定だという。投資やコレクションとしてのワインの世界を、ちょっと垣間見てみるのも楽しそうだ。
「絶対に家飲みすべき安旨ワイン」
自宅時間の増加に比例して増える、家飲み時間。そのパフォーマンスを効率良く上げるため、名だたる業界人から愛飲する安旨ワインをヒアリング。ルールは3000円以下! それだけだ。上に戻る
七瀬あい=取材・文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。