「絶対に家飲みすべき安旨ワイン」とは……ビジネス書として異色のベストセラーとなった『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』。
その著者である渡辺順子さんはさまざまな高級ワインを的確に解説することで有名だが、実はこのコロナ禍で「自宅で楽しめる手頃なワインを色々と試している」という情報をキャッチ!
さっそく渡辺さんに“教養としての安旨ワイン”を聞いた。
話を聞いたのは……
①アパルトヘイトにも負けないガッツの結晶
渡辺さんがまず挙げたのは、南アフリカの白ワイン。
「ワインというのは、生産者の人柄や気持ちが本当によく出ます。生産者のヌツィキ・ビエラさんは、今も人種間格差が残る南アフリカの貧しい家庭に育ちましたが、黒人女性として初めて自らのワインブランドを確立することに成功しました。何度かお会いしたことがありますが、とにかくガッツのある造り手です」。
アパルトヘイトの時代、ワインは「白人の酒」だった。造るのも飲むのも白人という文化のなか、自身のブランドを立ち上げるのは決して簡単ではなかったはずだ。
そんな苦境から誕生したワイン、果たしてそのお味は。
「フレッシュでフルーティな風味と、苦味の効いたシャープな味わいが特徴的で、どんな料理とも相性がいいですね。例えばお刺身に合わせるワインというのはなかなか難しいのですが、これは食べ物の臭みを取ってくれるので、お刺身どころか納豆にだってペアリングできてしまうんです」。
日本の納豆と南アフリカの白ワインのマリアージュなど、誰が想像しただろうか。
ちなみに「アスリナ」は、彼女が敬愛する祖母の名前に由来する。差別と貧困に立ち向かう祖母の意思は彼女にも受け継がれ、ワインというカタチで結晶化し、新しい時代を日々切り拓いている。
「外出自粛で気分がふさぎがち今こそ、ガッツが詰まったこのワインを飲んで元気をもらいましょう!」。
南アフリカの悲しい歴史と明るい未来に想いを寄せながらグラスを傾けたい、まさに教養が詰まった1本だ。
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