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2020.05.16

スバルの水平対抗エンジンはここから始まった。飛行機作りから得た安全へのこだわり

「車のトリセツ」とは……

安全へのこだわりが生んだスバルの代名詞「ボクサーエンジン」

零式艦上戦闘機、通称「零戦」。第二次世界大戦中、日本が世界に誇った名機である。その零戦に積まれたエンジンを製造したのが、中島飛行機、今のスバルの前身だ。
航空機で最も重視されること、それは安全性である。戦後、中島飛行機は軍需産業から平和産業に転換。富士重工業(現:スバル)と名を変えて、バイクや自動車の製造へと舵を切る。しかし、安全性という矜恃だけは、変わらず引き継がれた。
スバルの水平対向エンジン。通称、ボクサーエンジン。最近は抑えられているが、以前は中低音のドゥルドゥルという排気音が多くのファンから愛された。
安全へのこだわりから生まれたもの。それが、スバルの代名詞ともなった。水平対向エンジンだ。
ピストンが左右に向き合う形で配置されており、向かい合ったピストンが互いの振動を打ち消して滑らかに回転。車内に伝わる振動を少なくする。
また、エンジン全高が低くコンパクトな形状のため、車の低重心化を図りやすい。左右対称でバランスが良く、低重心。それが車の安定した走行姿勢に、ひいては安全に繋がると考えたのだ。
余談だが、現代の小型飛行機が装備するピストンエンジンのほとんどすべてが、空冷の水平対向型を採用している。航空機を源流に持つスバルは、こうした飛行機のノウハウを自動車に持ち込んだというわけだ。


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