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アウディを一躍有名にした「クワトロ」

多くの自動車メーカーは昔からモータースポーツに積極的だ。アウディもまた例外ではなく、まだ4社が独自で歩んでいた頃からレース活動を行ってきた。
1934年、誕生したばかりのアウトウニオンは知名度を高めるために、グランプリ・レースに参加。アウトウニオンはフェルディナント・ポルシェ博士に依頼して開発した「Type A」で参戦した。
V型16気筒エンジンをドライバーズシートの背後に積み、当時の世界最速の265km/hを記録したこのマシンは、グランプリ・レースで輝かしい成功を収めた。
「Type A」はその後B、Cへと進化していく。写真は「Type C」。
そして、アウディの名を世界的に知らしめた最大の功労車は、やはり1980年に登場した「アウディ クワトロ」だろう。
この頃のラリーカーは2WDが主流だったが、フルタイム4WDシステムのクワトロは世界ラリー選手権(WRC)で連戦連勝を重ね、ついには「WRCに勝つためには4WDは必須」と言われるようになった。
「アウディ クワトロ」。その後のアウディが進む方向を決定づけたといっていい4WDシステム「クワトロ」は、オフロードカーの4WDと違い、「2輪より4輪で地面を蹴ったほうが速い」という考えからだ。
その後ランチア・デルタやスバル・インプレッサ、三菱・ランサーエボリューションなど数々の名車がいずれも4WDを採用したのは、クワトロの活躍があってこそなのだ。ちなみに「アウディ クワトロ」が生まれた当時の開発部門のトップは、ポルシェ博士の孫であるフェルディナント・ピエヒだ。
独自のフルタイム4WDシステム「クワトロ」は、当時の市販車にも採用され、それがライバル車との差別化にもなり、かつ現在に至るまで常に進化をし続けている。
今のフラッグシップであるラグジュアリーセダンの「A8」を筆頭に、ほとんどの車に搭載されているほど、同社の代名詞となっている。
もうひとつアウディのモータースポーツ活動で知っておきたいのが、速さと燃費と耐久性が求められるル・マン24時間耐久レースでの活躍だ。ここでもアウディは1999年の初参戦から2016年まで18回のレースで13勝を記録し、圧倒的な力を見せている。
2006年から2008年は5.5LのV型12気筒ディーゼルツインターボを搭載したマシンで参戦。初年度から3年連続の優勝を飾った。
現在も電気自動車のフォーミュラカーで競うフォーミュラEや、市販車と同じモデルが競うドイツツーリングカー選手権(DTM)などに参戦している。
こうしたモーターレース活動を通じて得た走行性能、安全性、燃費性能などが、現在のアウディの市販車にフィードバックされ続けているのだ。


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