面倒見のいい“NBAの親分”
リラードはどんなときも、自分が育ってきた環境への感謝を忘れない。彼が背負う背番号「0番」は、オークランド、オグデン、オレゴンという「O」から始まる自身をルーツを示している。
そんなリラードは、デビューからブレイザーズひと筋を貫き、今ではキャプテンを任されている。背負っている覚悟も並々ならぬものものがあるが、彼はチームでどのようなリーダーなのか。清水さんは、レブロンとはまた違う“親分肌の選手”だという。
「リラードは、ブレイザーズの親分ですね。昨今のNBAは、チームにスター選手を迎えて勝ちに行くのがトレンドですが、ブレイザーズは派手な補強は一切せず、『俺がチームを強くする』というリラードの漢気を汲んでいます。
なので、チームに派手な選手は少ないですが、選手たちはリラードを中心に一枚岩になり、昨年はカンファレンス・ファイナルまで進出しました。『俺についてこい』と姿勢で示すような親分気質は、今のNBAではかなり珍しいタイプですね」。
親分と聞くと、統率力や圧倒的な存在感をイメージする反面、周囲には居心地が悪い人もいるのではないかと勘ぐるかもしれない。
しかし、リアルタイムで状況が変化し、絶えずコミュニケーションを必要とする少人数スポーツにおいて、ジャイアンのような傲慢キャラが中心にいる球団の歯車は円滑には回らない。リラードは“現代版親分”であり、非常に面倒見がいいことでも知られている。清水さんは言う。
「リラードは、とにかく“いい奴”なんです。NBAでは、ヘッドコーチとスター選手の関係性悪化により、人の入れ替わりが行われることがしばしばあります。ですが、リラードと監督のテリー・ストッツはブレイザーズの“同期”で、リラードのデビューから時間を共にし、リーグでも屈指のリレーションシップを築いています。
それでいて、リラードはチームメイトのことも気にかけ、常にコミュニケーションを欠かしません。コーチ陣からもチームメイトからも信頼される大将。そこに実力も伴っているとくれば、ついていかない人はいませんから」。
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